FAQ 賃貸管理トラブル集

未払賃料の遅延損害金の利率

賃貸借契約に、未払賃料の遅延損害金の利率についての約定がない場合の利率は。
未払い賃料の遅延損害金の利率に付いての約定がない場合、法定利率が遅延損害金の利率となる。そして、法定利率は年5%である。なお、賃貸人が不動産を賃貸する行為は商行為である。として障子法定利率である年6%が法定利率であると考えも成り立つ。

家賃等の延滞利息の上限は14.6%か

消費者契約法の適用がある居住用で個人が借主の契約については14.6%、それ以外については消費者契約法や利息制限法などを参考にしつつ、当事者間での合意に基づく。

合意解約

家賃滞納3カ月のケースで、2ヶ月分が敷金で充当し、1ヶ月分は放棄するから解除するという解決方法はあり得るか。
合意解約として扱い、上記内容を解約の条件として取りきめることは可能である。

重なる滞納による解除通告は可能か

事業用契約で賃料につき、入居当初から催促しなければ払わない状態が継続している。この場合において、次回期日まで支払がなければ解除する旨の通知をすることは可能か。

契約違反行為である。

催促しないと支払わないのは、借主としての義務を果たした事にはならず、契約違反行為であり、かつそれが入居当初から継続せしている以上、信頼関係も破綻しているということが可能であろう。したがって、解除予告つきで、催促する事は問題ないと考える。ただし実際の解除の場面では、信頼関係破壊の要件が充足するかについて争われる余地はあるので、催促経緯や対応につき記録しておくことが望ましい。

賃料滞納者が暴力団関係者である場合

暴力団の準構成員が借りている物件で、賃料滞納が5カ月に及んでいる。法的手段も考えているが、他に警察の協力を得て対応できないか。
暴力団印であるという威力のもとに具体的な行動をしていれば警察も対応する。また賃料不払についても、その威力を用いて債務免除を求めてきとというのであれば、暴対法適用のきっかけにもなるので、その借主の行動を記録して、警察に相談する事も可能である。ただし、警察が必ず動くともいえないので、この件では、賃料滞納が5ヶ月に及びかつ、入居時に暴力団員ではないと偽って契約しているとして解除は認められるので、法的手段で進めていく事を基本とし、並行して警察に相談するといった対応が考えられる。

未払い賃料をもっていきなり訴訟できるか。

ある建物の借主が3カ月の賃料を支払わなかったことから話し合い、借主は同建物から退去し、未払い賃料については「半年後に支払う」との内容を誓約書を作成して貸主に渡した。それから半年が経過したが、借主は未払い賃料を支払わない。いきなり訴訟はできるか。
理屈城上は、ただちに訴訟を提起する事はできる。ただし、通常は未払い賃料の支払いをもとめる通知書を内容証明で送付して、反応がない場合に訴訟を提起するという手順を踏む。なお、この手順を踏まずにいきなり訴訟を提起した場合、裁判官の心証にマイナスの影響を及ぼすことが考えられる。

直接交渉を避けたい場合

アパートの1室の賃貸借契約について、賃料を支払ったり支払わなかったりの借主がいる。しかし、当該借主は一見して精神疾患等を患っている様子がうかがわれることから直接交渉は避けたい。どのような手段をとったらよいか。
借主は精神疾患を患っている様子であることからすると、何が起きるか分からない。したがって、裁判手続き外での話し合いでの解決は難しいと思われる。調停を申し立てるという方法もあるが、本件は賃料の未払いがあり、借主が今後きちんと賃料を支払い可能性が高いとはいえないことからすると、やはり、建物の明け渡しを求めざるを得ない。とすれば、訴訟を提起する方向で検討すべきであると思われる。

借主が個人契約から法人に切り替えた場合の未払い賃料の請求先

アパートの一室を、当初、個人に貸していたが、途中からA法人との契約に切り替えた(居住者は当初の借主と同一)。しかしA法人が会社更生手続きの開始を申し立てて経済的に破綻したため、未払い賃料が生じてしまった。(なお、未払い賃料はA法人が会社再生手続き開始申し立て前のもの)

①当初の賃貸借契約の連帯保証人には当初の借主の父親になっていたが、未払い賃料を当該父親に請求する事は許されるか。

②仮に許されない場合は、未払い賃料は誰に請求べきか。
当初の契約者と切り替え後の契約者は別人格であることから、当初の契約と切り替え後の契約に同一性がない。したがって、当初の契約の連帯保証人は、特に切り替え後の契約についても連帯保証する旨の明確な意思表示をしていない限り、切り替え後の賃貸借契約についての連帯保証責任を負わない。したがって①については、未払い賃料を当該父親に請求する事は許されない。②については更生債権としてA法人の再生管財人に届ける。

裁判による判決が出た後の回収方法

滞納家賃につき、借主及び連帯保証人に対し判決が取れた。今後どのように回収を図るべきか。
借主及び連帯保証人の責任財産の有無を確認する。不動産を保有していれば、強制執行手続きとして差押えをかける。これだけでも任意の支払いを促す効果があるが、任意での履行がない場合、実際に競売申し立てをする。動産も同様である。給与債権等が判明すれば、その債権の差押え、転付命令の取得などで回収を図る。いずれにしても財産調査の上、費用対効果をを勘案し対応を検討することになろう。