FAQ 賃貸管理トラブル集

減額請求後の家賃

店舗の借主から賃料減額請求の通知が来て、一方的に従前の賃料の半額しか支払って来なくなった。どのように対処すべきか。
借主から貸主に対し賃料減額請求がなされた場合でも、貸主は借主に対し「減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払いを請求する事が出来る」(借地借家法32条3項)そのため、本件においては、貸主は借主に対し、従前の金額を基準とした賃料請求をして、未払賃料がおおむね3カ月程度たまった時点で当該賃貸借契約の解除をして、建物の明渡しを求めることを検討する事になろう。

借主に対する差押通知書等が貸主に届いた場合の対応

建物賃貸借の貸主に対し税務署から借主の滞納税金を被保全債権とする敷金返還請求権の差押通知書、質問書及び回答書面のような書面が来たが、どのように対応したらよいか。
貸主は税務署に対し回答書面を必要要請を記載した上で返送すべきである。なお、借主に貸主に対する債務がある場合、貸主は敷金から当該借主の貸主に対する債務を、当該差押えに係る滞納税金に優先して控除することができる。

滞納家賃等の場合、特約がない場合の遅延利息はどのくらいか。

特約がない場合、民事法定率によるので、5%が原則。ただし、商行為と評価される場合には6%となる。

借主と入居者の関係が親子である場合、借主の地位の承継は可能か。

家賃滞納の回収の為に少額訴訟を検討しているが、実際の入居者は借主の親で、借主自身の現住所地は不明である。
この場合、入居者である親が借主の地位を承継したとみなして、親に請求することは可能か。
借主の地位の変更ないし賃借権譲渡は、いずれも鍼灸借主間の契約と貸主の承諾等が必要であり、新旧借主間の譲渡等の契約の存在を明らかにしないと、親への請求はできない。この場合、弁護士か司法書士に依頼して借主の住所地捜査をすることも検討すべきではないか。

催促の方法

建物賃貸借契約の借主が賃料を2ヶ月分滞納している。当該賃貸借契約の連帯保証人は、①借主の姉の夫と②子供であるところ、未払い賃料について連帯保証人の勤務先宛てに催促状を送っても良いか。
「嫌がらせ」と受け取られることを回避すべく、順序を踏む必要がある。すなわち、当該連帯保証人に連絡する必要があることを前提として、まず、電話ないし自宅あてに手紙を送り、次に届かなかった場合に「親展扱い」で送るべきである。

滞納家賃の回収方法 債権が多数の場合

建物を保育園として賃借し、園関係者がその一角に住んでいる状況にある。家賃滞納が4年にも及ぶが、保育園の園児の事を思うとなかなか解約できない。なんとか滞納額の支払いを求めたいが、どのように対応すべきか。
金額が金額だけに、一括払いは困難であるので、分割払いの合意をし、公正証書にしておくことが考えられる。
また、保育料債権を差押え、転付命令を受けるということも理屈上は考えられるが、多数の少額債権なので、事務量と回収コストのほうが膨大になりかねない。したがって、いずれにしても最終的には解除を検討せざるをえないので、順次経営規模を縮小するなどの対応を借主に求めていくことも考えられる。

滞納家賃の回収方法 催促に応じず居座っている場合

家賃滞納が1年分以上ある借主。何度も催促しているが、連絡すらよこさない。電気メーターは動いている為、いまだ居住はしていると推測される。このような物件につき、明渡しと滞納賃料支払いを求めるにはどのようにすればよいか。
基本的には契約解除通知を出して借主に到達せしめ、その後明渡しと滞納賃料の支払いの訴訟をし、判決を得て強制執行をするという段取りになる。解除通知は内容証明で行うが、念のため同一の文章を普通郵便でも送付し、到達させる。訴訟は通常訴訟手続きとなる。(少額訴訟手続きでは明渡しは請求できない)

滞納家賃の回収方法 分割払い合意後の滞納

家賃滞納約140万円の借主との間で債務を70万円に減額し、分割払いで弁済する旨の合意書を交わした。(ない、借主は任意で退去している。)しかし分割払いの1回目の期日が過ぎても入金はされない。どのように対応すべきか。
合意のそんざいを前提に、債務弁済の法的手続きを取って対応することになろう。この場合、貸主本人が対応するか、弁護士に依頼して対応する事になる。管理会社が代理人となることは原則できない。

滞納家賃の回収方法 契約解除後に明渡しを履行しない場合

家賃滞納5ヶ月分となった借主に対し、契約解除をしたところ、6月27日付けで明渡し、6月28日付けで滞納家賃を払うとの念書が送付されてきた。期日まで待つ予定であるが、仮に履行されない場合、どのように対応すべきか。
まずは念書通りの履行を促す通知をし、期日の履行状況を確認する。履行されていなければ、念書を材料に法的措置(訴訟等)を準備しながら再度履行を促す。どうしても履行しなければ訴訟で対応する事になる。また、連帯保証人を通じ、本人の対応を促すことも検討する。