Column
コラム
連結子法人などの繰越欠損金の引継要件の緩和
平成22年に改正された「子法人が保有する繰越欠損金の引継制限の緩和」ですが、そもそもこの連結納税制度とはですが、対象各社の所得と欠損を通算し、グループ内の取引から生じた内部取引損益は対象資産がグループ外に売却されるまで課税の繰延ができるというものです。今まで、連結子法人が保有する繰越欠損金の引継はなぜ認めてもらえなかったのか、それは以下の理由です。ひとつは、構造的な理由として、連結納税によって、連結子法人は、単体納税から連結納税という新しい納税単位になるため、あらたな納税単位で利用する事は許容されないという点と、実務的な理由として多額の繰越欠損金を保有する休眠会社を利用する事によって、租税回避行為が横行する事を防止するためです。しかし、22年度の改正では、実質的なグループとして機能しているケースであれば、租税回避としての目的は薄いとして、いくつかのケースに限定はされていますが、連結子法人が保有する連結納税開始または加入前の繰越欠損金は引継可能としました。また、繰越欠損金の利用範囲についても、当該子法人の課税所得の範囲内とすることによって、構造的な理由について対処するとともに、結果として、単体経営の場合と比較して不利益がないような仕組みとしました。