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相続と売却 複数の変動要素と比較検討を
親子間(個人と法人)で、土地の貸借を行っている場合、土地の所有者である親から相続を受けるまで待つかそれ以前に譲渡をうけるか…答えは単純なものではなくいくつかの変動要素があるのでまずは比較してみましょう。
もし相続を受けた場合は、借地権割合を加味した固定資産評価額から基礎控除を控除した課税遺産額に財産額に応じた相続税率を差し引いて計算します。その場合、遺留分が留保されるため、目的の土地をすべて取得する事ができない場合と今後の基礎控除額と相続税率、控除額の引き下げがある可能性も考えなければなりません。
売却と譲渡の場合は、取引は路線価ではなくて時価での取引が前提になります。譲渡所得は譲渡収入金額から取得費や譲渡費用を控除した額に所得税率を乗じて算出します。取得費は実額と概算額(譲渡収入額の5%)のうち高額の方を使います。また長期譲渡所得税と短期譲渡所得税の違いもあります。財産の取引価格は時価が前提となる為、時価よりも安い金額で買う法人には法人税が課されます。その場合、時価と売買価格の差額は受増益となります。
売り手にも財産を所得税法上の時価の2分の1未満で売った場合はみなし譲渡所得税が適用されます。また時価の2分の1以上であってもその譲渡が「同族会社等の行為又は計算の否認」の規定に該当する場合にはみなし譲渡所得税が適用されます。上記のように様々な変動要素があるので、どちらが良いか一概に言えませんが、前提を置く事で今後の展開がみえてくるのではないでしょうか。