Column
コラム
売買の目的不動産より基準値を超える砒素等の存在での瑕疵責任の判例
この事案は、マンションの分譲会社が、土地を買い受け土壌の調査を行った結果、本件の土地には土壌汚染対策法に定める基準を超える砒素等が検出されたことに対して、マンション建築に当たり、土壌汚染の処分等に過分の費用を要したとして瑕疵担保責任に基づき損害賠償と遅延損害金の請求の提訴をした。第一審では、棄却されたが、控訴審において、損害賠償と遅延損害金の支払いが命じられた。土地の売主はこれを不服として上告したが上告不受理になった。
旧土壌汚染対策法では、自然的原因よる有害物質が含まれる汚染された土壌を対象としていなかったが、本事例は、旧法の施行下において、当該砒素が専ら自然的原因によるものであるとしても、売買契約の目的である土地において基準値を超える量の砒素等の存在に瑕疵をみとめた初めての判例である。 平成22年4月に改正施行された新法において、「法第4章において、汚染土壌の搬出及び運搬並びに処理に関する規制が創設されたこと及びかかる汚染された土壌をそれ以外の汚染された土壌と区別する必要がないことから、同章の規制を適用するため、自然的原因により有害物質が含まれて汚染された土壌を法の対象とすることとする。」とされることになったことから、本判決の意義は土壌汚染対策法に反映されたとする。
(財)不動産適正取引推進機構発行 RETIO2011.4NO81より抜粋