Column
コラム
相殺について
「相殺」 当事者がお互い同種の債務を負担している場合に、自分の債権を、相手方に対する同額(対当額)の債権で消滅させることです。相殺には決済処理を簡便化させるという清算機能だけでなく、「担保的機能」もあると言われています。
相殺は、一方当事者の一方的な意思表示で行う事ができます。また合意によって相殺する事もでき、合意による相殺であれば、相殺できる債権の対象が増えます。(相殺禁止とされている債権についても相殺できる場合があります。)相殺が認められる要件として、次のような条件を満たす必要があり、これらの条件を満たしている事を「相殺適状」といいます。①相殺する相手との間で、お互いの債権が対立している事。②お互いの債権が同種の目的であること。③お互いの債権について弁済時期が到来している事。次に相殺が禁止されている場合ですが、①債務の性質上、許されない場合(労務提供や不作為債務など)②相手方の債権が不法行為に基づく債権の場合③相手の債権が差押禁止債権の場合(給料や退職金は原則4分の3は差押えが禁止・労働者賃金については一部ではなく全額を相殺禁止とする判例があります。)④相手の債権が差押えられた後に、自分の債権を取得した場合。