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コラム
前払いした家賃の処理 3つのパターンの場合
テナントを借りた場合には当然、家賃が発生しますよね。その支払い方法は取り決めすることができます。
例えば、法人(3月決算)で3店舗を借りており、それぞれ別の方法で支払われており、その家賃を支払った時に全額損金として継続処理いるとします。 この3つの支払方法はすべて損金計上可能なのか。
事例
①毎月月末に翌月分の家賃を支払う。
②毎年3月下旬に翌期分(4月から翌年3月分)の家賃1年分を前払いにより支払う。
③毎年2月に翌期分(4月から翌年3月分)の家賃1年分を前払いにより支払う。
上記すべては損金計上できないのです。
実は①と②については支出時での損金処理が可能ですが、③については、前払金として資産計上が必要となります。
短期前払い費用を損金に算入する為の要件とは、
A前払費用の額で、Bその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合にCその支払額をその支払った事業年度に損金の額に算入することができるもの。
この要件を上記事例①②③に当てはめると、①は毎月月末に支払っており、要件Bに該当し、支出時における全額損金算入が認められる事になります。
次に②は厳密に言うと要件Bを満たしてはいません。しかし翌期1年分の家賃を当期の3月下旬に支払っていたとしても、1年を超える期間はごくわずかであり、このような場合については、支払時にその支払額全額を損金の額に算入するという短期前払費用の規定を適用しても課税上弊害はないものと考えられる。
それではなぜ、③は適用されないのか。②と同様に、翌1年分の家賃を当事業年度において前払いしている点については同じである。しかし、前払いした日が当期の2月と、家賃支払いの対象となる期間がスタートする日よりかなり前であり、このような場合は要件Bは抵触することになります。よってこの場合は、短期前払費用の規定が適用されずに、その支出額の全額を前払金として資産計上し、翌期において損金処理となります。