Column
コラム
少額訴訟制度、消費者保護法に負けない正統な賃貸借契約書
今回のテーマにもある「少額訴訟制度」と「消費者契約法」ですが、
オーナー様は頭を抱える制度と思われがちですが、実は契約書の作り方で大きなトラブルを回避できます。
いままではなんでもかんでもオーナー側に有利な条項は無効だ!となっておりましたが、
平成23年の3件の判決において、契約書記載のオーナー側に有利な条項も有効であるとの判例がでました。
それによって今までオーナー側のいわば泣き寝入り的なものが少なくなり、契約書の記載内容によっては
オーナー側も有利になれるというものとなりました。
その対象となった事例は、敷き引き特約です。
借主Aは退去後に敷き引き特約で保証金から差し引かれて返還を受けたことを不服に思い
消費者契約法に違反として裁判所に提訴しました。しかし、裁判所は「特約は貸主に有利なものであるが、
契約書上、敷き引き特約と敷き引き金の額が明記されており、それを認識して借主Aが
契約を締結したのであるからこの特約は有効」と判決を下しました。
このように貸主に有利な内容の特約でも、契約書に明記しておれば有効であると認めたのです。
ただし、なんでもかんでも有利な内容の特約が有効とは言えませんので、管理会社や弁護士などに相談するべきでしょう。
有利な契約条項や特約とは
賃貸借を行う物件によって異なるのですが、代表的なものを上げれば以下のようなものがあります。
※通常損耗や経年劣化の修理費を入居者に負担させる特約
※敷き引き特約
※保証金や権利金の償却条項
※更新料条項
※自動更新条項
※修繕義務を回避する特約
※造作買取請求権を排除する条項
※有益費償還請求権を排除する条項
※賃料の自動増額条項
など、今後少しずつ紹介させていただきます。