Column
コラム
通常損耗と経年劣化の修繕費も契約書次第で入居者負担に
通常損耗や経年劣化によるものは一般的にはオーナー様負担となるのが原則となってますね。
たしかに、オーナー様は不動産を貸す対価として賃料をもらっているので、それによる通常損耗や経年劣化の
修繕費は賃料に含まれていると解釈されるのが原則となります。
※のちに一般的にオーナー様の負担と考えられる修理費を紹介します。
しかし、タイトルでもご紹介してますが、それを契約書での特約で入居者負担にできるのです。
この根拠は、最高裁での敷き引き特約を有効とした「通常損耗等の補修費を賃料と別に入居者からもらう特約」
を認める判決を出しているからです。
それではどのように契約書に書き込めばよいのか。
今回は具体的な記載例をあげてご紹介いたします。
特約がすべて有効なのではなく、「通常損耗と経年劣化の修理費用は入居者の負担とする。」といったように
抽象的に記載しただけでは有効とは言えません。
このような特約では、入居者が負担するものについて理解したとは言い難いのでその特約は
無効となる可能性があります。それでは重要なことは何かといいますと、
①どの部分の通常損耗や経年劣化の修理費なのか明確にすること
②負担する金額を明確にすること
③請求額の正当性(最高裁の判例では月額家賃の3.5倍程度までは認めています。)
上記の3つを具体化してみると
特約として以下の通常損耗と経年劣化による修繕費用は入居者の負担とします。
(1)明け渡し後の室内のクリーニング費用 30,000円
(2)エアコンのクリーニング費用 15,000円
(3)鍵の交換費用 15,000円 など
この特約を書けばすべてが有効ではなく、請求額の正当性を考えるとあまり高額な金額は難しく、
しかも入居の意欲を損なう可能性が高くなるので、欲張らず良好な関係を維持できるような特約をおすすめします。
※オーナー様の負担と考えられる修理費用
①次の入居者のために行う畳の表替え、浴槽や設備の取り換え
②フローリングのワックスがけ
③日照や建物の欠陥による雨漏りなどによるフローリングの劣化や畳の損耗やクロスの変色
④家具や家電製品などによる床やカーペットなどの跡
⑤家電による壁の黒ずみ
⑥エアコンなどを設置したことによる壁のビス穴や跡
⑦ポスターや絵画をはったことでできた壁の跡(下地ボードなどの損傷を含まない程度)
⑧クリーニングで除去できる程度のたばこのヤニ
⑨天災によるガラス等の損傷
⑩自然に発生したあみいりガラスの亀裂
⑪破損や紛失などではない次の入居者のための鍵の交換費用
⑫キッチンや水回りの消毒費用
⑬室内全体のハウスクリーニング費用