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不動産取引の判例!! 性風俗特殊営業での使用は心理的瑕疵!?
不動産取引には様々な事情が存在します。そのなかには、物理的な瑕疵のように存在が明らかである場合と、
心理的瑕疵のように明確な基準が見当たらないものがあります。
後者の場合は、その時々に応じて、過去の判例やその事情を検討して判断しなければなりません。
今回は以下のような判例をご紹介します。
売買されたマンションが前入居者によって相当長期間にわたり性風俗特殊営業に使用されていたことは心理的瑕疵か!?
この事例の概要ですが、あるマンションで長期間風俗営業を行われていた。
そしてその事実を知った管理組合は本物件の明け渡しを求める訴訟を提起、そして明け渡しが完了した。
その後、所有者は本物件を売却、そして居住用マンションを探していた夫婦に売却された。
この際に、仲介会社及び売主は前入居者の使用状況、風俗営業、そして訴訟について触れなかった。
(仲介会社は風俗営業、管理会社との訴訟は知っていた。)
引き渡し後に入居した夫婦は上記の情報を知ったことで、耐え難い心理的負担を負うことになり、
売主、仲介会社を相手取り訴訟をした。
結果、売主の瑕疵担保責任と仲介会社の説明義務違反で100万円の連帯支払を求める限度で認容した。
(100万円の金額については賛否両論であると思いますがここでは触れないものとします。)
判決の要旨
民法570条にいう瑕疵にあたるものであるということです。
その解釈とは、目的物が通常有する性質を欠いていることをいうのであり、その目的物が建物である場合には、
通常有すべき設備を有しないなど物理的な欠陥があるときのほか、建物を買った者がこれを使用することにより
通常人として耐え難い程度の心理的負担を負うべき事情があることをいう。よって本物件が、長期間にわたり、
性風俗特殊営業に使用されていたことは瑕疵にあたると言えます。
上記はひとつの事例であり、一般人が嫌悪感を抱く可能性のある事情は多くあります。
一番伝えたいことは事例を知ることでなく、仲介業者は当然のことながら、
売主様も瑕疵担保責任等を問われるなどではなく、健全な取引と友好な信頼関係を
保つためにも慎重な対応を心掛けてもらいたいものです。