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コラム
借主に対する自力救済は不法行為となる事例・・・ 追い出し行為
まず、自力救済禁止の原則についてですが、過去のtopicでも取り上げさせていただきましたが、
それについてご紹介します。
一般的には、「法的手続によらないで私力の行使(実力行使)をもって自己の権利を実現すること」をいいます。
昭和40年の判例では例外的に認められたケースもありますが、原則的には禁止です。
さて、今回の事例ですが、貸主と管理会社のこんな行為が不法行為責任として認められました。
事案の概要
賃貸借契約が裁判所の確定判決により解除されたにもかかわらず、借主はその後も建物に居住し続け、
一方、貸主は、賃料相当損害金を受領し続けていた。そこで、貸主及び管理会社は追い出しのために
ドアの鍵部分にカバーをかける、貼り紙を貼ったり(荷物の処分を思わせる文章)などの行為を行った。
判決の要旨
管理会社の責任
①借主宅に貼り紙をはったり、ドアの鍵部分にカバーをかけるなどの行為を行った。
②荷物の処分を伝える貼り紙によって、借主は強迫観念を植え付けられ、借主が入室できないように鍵部分に
カバーを掛ける行為は社会的行為として認められない。そしてその行為により、現金も着替えもない状態で、
車内での寝泊りを余儀なくされた。
貸主の責任
①事案の概要にもあるように、本件の賃貸借契約は、裁判の確定判決で
債務名義を得ているのにもかかわらず、公権力による明け渡しを実行せず、
しかも借主の居住を黙認したうえ、借主の滞納家賃を管理会社に委任したので、
貸主にも不法行為責任が生じる。
ここで注意ですが、貸主にも責任があると判断された要因には、今回の事案は委任者と受任者の間に
指揮監督の関係が残されているとされ、民法上で貸主にも不法行為責任があると認められた。
民法第709条 民法第715条
ここで追加でご紹介します。
鍵のカバーや財産の処分に関して、連帯保証人の要請ないし、同意を認めることができたとしても、
貸主及び管理会社の違法性の判断に影響を及ぼすものではない。
連帯保証人と言っても、借主が部屋を使用できない状態にする権限はないことにご注意を!!