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国税不服審判所が「正当な理由」を初めて認めた判例!
まず、この事例を説明する前にキーワードと言える言葉を説明をいたします。
非居住者という言葉をご存知でしょうか。
居住者と非居住者の区分
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、
又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、
「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは
「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、
職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。
「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
法人については、本店所在地がどこにあるかにより、内国法人又は外国法人の判定が行われます
国税庁HPより抜粋
そして賃貸借契約の中で、賃貸人が居住者から非居住者に変更となった場合は、
それ以後に支払った賃借料は所得税を源泉徴収しなければならないことも覚えておいてください。
今回の事例です。
賃借人Aは賃貸人Bとの間で店舗と土地を賃借する契約を結んだ。
賃貸人Bは契約時は日本国内に住んでいたが、平成23年11月28日に出国し、賃貸人Bは非居住者になった。
本来は賃貸人Bが非居住者となった後の賃料の支払いは上記のように所得税を源泉徴収しなければならないが、
賃借人Aは平成24年1月分、2月分をそのまま振り込んだ。
その後、賃貸人Bは平成24年3月に「非居住者に対する源泉徴収の免除証明書」の交付を受けたが、
賃借人Aが提示を受けたのは24年4月でそれも土地を管理する者からの通知で、
賃貸人Bが非居住者になったのを初めて知った。
原処分庁は法定期限内に納付しなかったとして、不納付加算税の賦課決定処分を行った。
さて、これは「正当な理由があると認められる場合」となるのかが争点です。
結果、正当な理由として審判所が初めて認めました。
要因は、賃貸人Bが非居住者になったことを知った方法が賃貸人Bの遅滞によるもので
24年1月分、24年2月分については所得税を源泉徴収すべきことを認識し、
すぐに納付手続きを採っており、24年4月に管理者からの連絡後遅滞なく納付する意思があった。