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コラム
ペット飼育等を理由に明渡請求・・・・大事なペットの為にも良好な生活を!
賃貸借契約でペットの飼育を禁止する特約を締結することは有効です。
ではその特約に違反すれば即時明渡し!?
実は、ただちに解約はできないのです。この場合、賃貸人との信頼関係が破壊されたといえる場合に、
契約が解除となります。
だからと言って、契約条項に違反した賃借人が守られるというわけではないのでご注意を!
それでは、ペットの飼育を禁止する特約を締結していない場合で飼い主のしつけが悪く、近隣に迷惑をかけている場合は!?
この場合は、賃借人の用法義務違反であり、警告しても飼育方法を改善しない場合は、
賃貸人との信頼関係が破壊されたとして契約を解除することも可能となります。
ここでペットトラブルでの判例をご紹介いたします。
①共同住宅の1室の賃貸借において、犬猫等の家畜を飼育してはならない旨の特約に違反し、前記住宅内で野良猫に餌を与えたことを原因とする契約解除が認められた事例 (新宿簡判昭和61・10・7 判時1221号118頁)
②犬・猫等の飼育禁止の特約に違反したとして、共同住宅の部屋賃貸借契約の解除が認められた事例
(東京地裁昭和59・10・4 判時1153号176頁)
③建物の賃貸借契約にいおいて賃借人が賃借する部屋で犬を飼育してはならない旨の条項は借地借家法30条、民法90条に
違反するものではないと判示した事例 (東京高判昭和55・8・4 判夕426号115頁)
④猫飼育禁止の特約違反等の信頼関係破壊を理由とするマンション賃貸借契約の解除が有効と認められた事例
(東京地判昭和58・1・28 判時1080号78頁)
⑤賃借建物で犬を飼育したのは、建物賃貸借契約に反するとして同契約を解除し、建物明渡しを求めた事案について、
被告が建物内で犬を飼育することは、特約に違反するものであるとしても、本件賃貸借契約の基礎となる賃貸人、賃借人間の
信頼関係が破壊されるに至ったとは認められないなどとして、賃貸人の請求を棄却した事例。
(東京地判平成18・3・10)
⑥犬を飼育すること自体は何ら責められるべきことではないが、賃貸の共同住宅においては、犬の飼育が自由であるとすると、
その鳴き声、排泄物、におい、毛等により当該建物に損害を与えるおそれがあるほか、同一住宅の居住者に対し、迷惑又は損害
を与えるおそれも否定できないのであって、その様な観点から、建物内における犬の飼育を禁止する特約を設けることにも合理性がる。そうすると、被告が、本件建物内での本件犬の飼育の仕方に意を払っていることはうかがわれるとしても、動物等飼育禁止の特約がある以上は、賃借人として右特約を守らなければならないというべきである。と判示した事例。
(東京地判平成7・7・12 判時157797頁)
⑦居住用の目的でした建物賃貸借契約において、当該建物内で猫等の家畜を飼育してはならないとの特約がない場合であっても、猫等の家畜を飼育することによって、当該建物を汚染、損傷し、さらには、近隣にも損害ないし迷惑をかけることにより、賃貸人に苦情が寄せれるなどして、賃貸人に容易に回復し難い損害を与えるときは、当該家畜の種類及び数、飼育の態様及び期間並びに建物の使用状況、地域性をも考慮したうえで、なお、家畜の飼育が居住に付随して通常許容される範囲を明らかに逸脱して、賃貸借契約当事者間の信頼関係を破壊する程度に至っていると認められる限り、右家畜の飼育は、賃貸借契約における用法違反に当たるというべきであると判示した事例 (東京地判昭和62・3・2 判時1262号117頁)