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賃貸借契約中に賃借人が死亡した場合の契約解除の方法・・・当然に終了とはいかないのですよ!
賃貸借契約中に賃借人が死亡した場合、借主がいないので契約は終了!ではありませんよ!
この場合、賃借人に相続人がいる場合はその地位を継承することになります。
(この場合、家族で住んでいる場合を除いて考えます。)
相続人が一人の場合は、その者に契約の意思を確認すれば済むことですが、
相続人が複数いる場合にはそうはいきません。
この場合は、相続人全員を訴訟の相手方とする必要があります。
それにはすべての像属人の戸籍などを取得し、相続人全員を確定する手続きから始めます。
しかし、相続人の中には、海外にいる者、現住所の調査をしても詳しい現住所が判明しないケースもあります。
相続人すべてに対して手続きをしなければならない事を原則とするならば、
ひとりでも見つからなければ、契約を終了させることは難しくなります。
そこで、今回はこんな判例をご紹介いたします。
一部の相続人に対する解除でも有効!
これは、賃借人が死亡し、その相続人を相手方として提起された明渡訴訟において、
相続人全員に対して解除通知を発送し、解除しなければならないのが原則であるとして、
「賃貸借契約において、賃借人が死亡し、数人の相続人が賃借権を相続したものの、
そのうち特定の相続人のみが賃借物を使用し、かつ賃料を支払っているような場合は、
他の相続人は賃貸借に係る一切の代理権を当該相続人に授与したとしてみて差支えないこともあり、
そのような特段の事情のある場合には、賃貸人は、当該相続人に対してのみ
賃料支払いの催告や契約の解除の意思表示をすれば足りる」
(大阪地判平成4年4月22日)と判断しました。