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コラム
抵当権設定者から即時明渡要求が! そんなこと可能なのでしょうか…
抵当権を設定された建物を賃借するというと特殊な賃貸借のようにきこえますが、
全国津々浦々、抵当権はほとんどの不動産に設定されていると思っていただいても良いかと思います。
逆に抵当権等が設定されていない不動産は超優良不動産と考えてください。
抵当権とは金融機関などがお金を貸す際に、不動産や権利(地上権など)に設定する担保のことです。
それでは本題に。
抵当権が設定されている不動産を借りている方はこのテーマだけみれば、不安ですよね。
不動産を賃借するときに重要事項説明の際に説明があるかと思いますが、
抵当権の実行(競売等)にならない限り、抵当権者は抵当権不動産の使用収益について干渉できず、
抵当権設定者は自由に不動産を賃貸することが出来ます。
そして、この抵当不動産の価値を下げるような不法占有などの行為に対しても、
抵当権者は妨害排除請求はできませんでした。
しかしその結果、抵当不動産の短期賃貸借の濫用や不法占拠が増え抵当不動産の交換価値が
下がるという由々しき事態になっていました。
※なぜ不法占拠や短期賃貸借の濫用が増えたかといいますと、
抵当権を実行される所有者は一時的な資金の確保を優先することで賃借人の質を下げたり、
第三者の不法占拠を放置したりするからです。
これでは抵当権者の権利は正当に守れらないとして、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられているような場合には、抵当権に基づく妨害排除もゆるされるとしています。
(最高裁判所は平成11年11月24日判時1695号40頁)
ここで注意です。
原則としては抵当権者は明け渡し請求はできません。
抵当権者は抵当物件の建物の交換価値の実現が妨げられているような場合に限り、
抵当権に基づく妨害排除請求として、または所有権の代位行使によって、交換価値の是正を
求める範囲内で建物の明渡請求ができます。