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コラム
賃料滞納時の借主に対する督促費用は借主負担にできるのか!?
今回のテーマは契約条項の使用差し止め等の前提として、
賃滞納者に対し貸主が借主に対して督促する場合の、
費用について、借主負担とする特約の有効性を争われたものです。
そもそも、賃料の支払い義務は、賃貸借契約上の借主としての基本的な義務です。
したがって、賃料の滞納は借主の債務不履行となります。
そして、その賃料滞納を催促するコストは、借主の債務不履行によって生じた損害ですので、
損害賠償となることもあります。
消費者契約法では、信義則上消費者に一方的に不利な内容の特約は無効となってますが、
上記に説明したとおり、賃料支払いは借主の義務です。
よって、賃貸借契約書に催促手数料条項は、滞納賃料の発生に伴う貸主のコストであり、
金額が不相当(信義則上)高額でないのであれば、借主に請求することは有効と考えます。
そして、この事案に対する裁判所の判断をご紹介します。
①貸主は滞納賃料を借主に請求するには、電話代、郵送料、交通費などのコストにとどまらず、
その証拠書類を確保し回収まで保存するなどのコストも必要となるあって、
これらのコストは膨大である。
②内容証明郵便や現地に従業員などを赴かせ直接督促させるなど対応の費用がかかる。
③実際に要した費用が契約書等の特約に記載された金額を超える場合でも、
借主は定められた金額を支払えれば足りるという点では借主にも有利な面もある。
以上から催促手数料の特約は信義則に反し、借主に一方的に不利なものではなく、
消費契約法により無効とされるものではないから、この特約は有効である。