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判例・・・無断転借による責任は賃借人も義務を負う!?
この判例は最高裁平成17年3月10日の判決されたものです。
さて、その事案とは。
【概要】
土地の貸主をAとします。
そのAは県の許可を得て産業廃棄物最終処分場として使用しておりましたが、その使用を中止して、
Bに資材置き場として賃貸し、Cがその連帯保証人となりました。
その後、BはDに無断転貸をしました。
そのDはその土地を産業廃棄物処理場として使用し廃棄物を投棄し始めました。
そこで貸主Aは無断転貸及び用法違反として契約を解除し、Bから明渡しを受けました。
しかし!投棄された産業廃棄物はそのままでした。
そこで、Aは連帯保証人のCに原状回復義務の不履行として損害賠償を求めた事案です。
この場合はAの請求は認められるのでしょうか。
【裁判所の判断】
①賃借人Bは賃貸借契約上の義務に違反する行為により生じた賃借物件の毀損について、
原状回復義務を負うことは明らかである。
②Bは無断で転貸し、Dが不法に産業廃棄物を投棄したのだから、
Bは原状回復と産業廃棄物を撤去すべき義務を免れることはできない。
ここで補足と注意を!
まず、そもそも貸主に無断で転貸借をすることは違法です。
では、貸主に転貸借の承諾をとっている場合はどうなのでしょうか。
この場合は、転借人も正当な当事者となりますので、原状回復義務に関してもその利用態様に応じて、
借主とは別に考えられます。トラブルを防ぐためにも転貸借の承諾時や賃貸借契約締結時に、
転貸借における特約を定めておく必要があります。
そして、もうひとつ重要な補足を。
今回の事案は連帯保証人への請求でした。
当然、連帯保証人も賃借人と同様の債務を弁済する義務はあります。
ただし、2020年に施行される改正民法では極度額を定めなければ効力を生じないとされます。
(極度額は連帯保証人が負うべき債務の上限です。)
このような多額の債務が想定される契約では、賃貸借の目的等を考慮して極度額もしくは敷金等の金額を設定すべきです。