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コラム
有料老人ホームへの入居金の贈与税は
高齢化の急速な進展に伴って、有料老人ホームへの入居一時金を配偶者や子がが負担した場合、一時金が贈与税のかからない「生活費」に当たるか否かが注目されている。焦点は社会通念上、生活費に当たるかどうか。相続税法9条では、対価を支払わない、又は著しく低い価格で対価の利益を受けた場合に利益に相当する金額に贈与税を課すと規定しているが、同法の21条では、扶養義務者相互間で生活費などの為に取得した財産のうち通常必要と認められるものは課税対象としないとしている。それでは、生活費としてなら入居金も認められるのではないか。。。ある判例を紹介します。
次の両裁決ともに配偶者の為に支出したものである。
1,入居一時金が945万円で、入居者が要介護認定を受けており、その設備も介護生活を行う必要最低限のもの。
2,入居一時金が1億3370万円で、要介護認定はなく、居室面積が広く設備も充実している。
これらは、直接的な贈与税で争われたものではなく、負担した配偶者が亡くなったため、負担額が相続開始の3年以内の贈与として加算されるか否かで争われた。結果、2が加算されたのだが、通常の日常生活に必要な費用の概念が曖昧である。上記の事案からみて、1億円を超えるか否かと判断するのも危険であり、今後も大きな争点となりそですね。