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コラム
退職金を使った税金対策 (事業承継)
事業をされている方の9割はある程度の時期になると事業承継が頭を過りますよね。その際にはそれまでの功績による退職金とそれを担う会社の損金算入についてのバランスを考える事になります。今回はその退職金がどの段階そしてどのように損金算入されるのか紹介させていただきます。
まず大事なのが、役員の退職金の額が適正であるか、そして次の3つのような事実があるかが大事です。
①常勤役員が非常勤役員になったこと。
(常勤していないものであっても代表権を有している場合や、実質的にその会社の経営上主要な地位を占めていると認められる場合は除かれます。)
②取締役が監査役になったこと。
(監査役でありながら実質的にその会社の経営上主要な地位を占めていると認められる場合や、使用人兼務役員として認められない大株主である場合などは除かれます。)
③分掌変更等の後の役員給与が概ね50%以上減少したこと。
(分掌変更等の後においても、実質的にその会社の経営上主要な地位を占めていると認めれる場合は除かれます。)
上記のように単に非常勤になるだけではなく実質的に会社の経営上主要な地位を占めない事と、対外的にも分掌変更したことをアピールするべきです。これをしなければ、会社からの退職金は役員への賞与としてみられ、損金不算入となりしかも、退職所得控除(退職金-退職金所得控除×2分の1)が使えない為に税負担が増え、会社と個人のダブルパンチとなります。
その退職金所得控除も今回の改正により、平成25年1月1日以後に役員等としての在任期間が5年以下の者に支給する役員退職金については2分の1課税が適用できなくなります。
退職金所得控除は以下のように定められております。
①勤続年数が20年以下の場合
勤続年数×40万円
②勤続年数が20年超えの場合
(勤続年数-20年)×70万円+800万円
次に適正な退職金の額の算定ですが、退職した役員の勤続期間・退職の事情・退職時の給与・他の同規模業種の会社等から総合的に判断しますが、一般的には次の算式により算定されます。
損金算入限度額=退職時の月給×勤続年数×功績倍率
(功績倍率とは他の同規模同業種の会社における役員に対する退職給与の支給状況やその役員の地位等に照らして算定されますが、代表取締役で2~3倍 役員で1~2倍とされます。)
このように算出された退職金の損金算入時期は、
原則として株主総会等の決議により、その支給額が具体的に確定した事業年度
特例として、損金経理により役員退職金を実際に支払った事業年度の選択ができます。