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コラム
貸主に相続が発生した場合、既存の賃貸契約や管理委託契約の扱い方
貸主が死亡して相続が発生した場合は、その賃貸物件に相続が発生し、賃貸借契約関係はそのまま相続人に継承されます。貸主が亡くなったからといって契約の終了はありませんし、その際に契約条件を変更しようとしても借主の合意なしではできません。相続人が複数いる場合は、相続人の共有となり、貸主は相続人全員となりますが、遺産分割協議によって最終的に貸主が決まればそれ以降はその者が貸主として賃貸借契約は継続します。
それでは、遺産分割協議が整わない間に、空物件に申込があった場合の賃貸借契約はどのようにしたらよいのかですが、建物賃貸借契約は一般的に相続財産の管理行為と考えられますので、持分の過半数の者の同意があれば新たに賃貸する事も可能です。持ち分の過半数の同意を得た上で、一人が「貸主亡き○○相続人 代表者△△」といった名義で契約をし、遺産分割協議が整って貸主が特定した時に、貸主に連絡をし、契約書の貸主の記載を変更する手続きをします。
一方、亡くなった貸主との間で締結されていた管理委託契約は、相続発生時に相続人と管理業者との間で管理委託契約が継続する旨の特段の定めがない限りは、貸主が亡くなった時点で終了します。(民法653条1号)
民法653条1号
【委任の終了事由】
※委任は次に掲げる事由によって終了する。
①委任者又は受任者の死亡
②委任者又は受任者が破産手続開始の決定をうけたこと
③受任者が後見開始の審判をうけたこと