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コラム
賃貸借物件の所有者の変更と賃借人の権利・・・・相続による変更
昨日は所有権が売買による場合の賃借人の権利についてご紹介致しました。
今回は、相続による変更についても以下のような事例をもとにご紹介致します。
賃貸借物件が相続によって所有権が移転した場合に、新所有者から退去を求められたケースを事例としてご紹介。
1、引越しをしなければならないのか。
2、引越しをしない場合、家賃は誰に支払うのか。
3.引っ越す場合は誰に敷金の返還を求めたらよいのか。
1、家主が死亡した場合、その相続人は賃貸建物の所有権を相続するとともに貸主たる地位を継承するので、
賃貸借の関係は従前の契約内容を継続します。よって引っ越すことなく使用できます。
ここで注意が必要なのは相続人が1人でない場合です。
借主が保存行為にあたるような事項(例えば賃貸建物の修繕)を行おうとする場合には、
共同相続人1人の承諾を得れば足りますが、その他の管理行為(建物への造作や取り付け)
を行おうとする場合には、少なくとも2分の1以上の相続分を有する1名もしくは
複数の相続人の承諾を得る必要があります。
複数の相続人の承諾を得る必要がある時は、まず相続人の中で代表的な立場にある人と交渉し、
早期の遺産分割を要請もしくは、交渉権を一部に集中させることを希望するなどして交渉の手続きを
簡易化させるのが良いでしょう。
2、家賃の支払先と敷金返還請求の相手ですが、相続人が1人の場合は、その相続人に支払って下さい。
相続人が複数いる場合で、遺産分割協議の結果賃貸人の地位を継承する者が決まった場合には、その者を
賃貸人として賃料の支払い及び敷金返還請求をすることになります。
協議がまとまらない場合には法務局に供託し、敷金は各相続人より返還してもらう事になります。