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所得税額の特別控除の落とし穴・・・引き渡し日
この度、こんな判例がでました。
家屋の取得日とは居住の用に供する事が認められる日、すなわちその家屋の所有者が住宅として
機能を有する状態でその家屋の引き渡しを受けた日を示し、改装の完了日は「取得の日」に該当しない。
これは、どのようなものかといいますと、
住宅を取得した際に、住宅借入金がある場合の所得税額の特別控除※1の規定を利用して
所得税の軽減についてのもので、家屋の取得の日から6ヶ月以内に居住の用に供しなければならない
(他にも制限はありますが、今回の判例はこれが判断の分かれ目です。)のですが、引き渡し日についての
争いがあったものです。
事実関係は以下の通りです。
請求人は平成20年5月31日、A社との間で、既存住宅を購入する契約を締結し、同年7月14日に所有権移転登記
を行った。そして翌21年からは改装工事、追加変更工事などを行う事をB社と契約し同年3月29日にそれら工事
が完了し4月27日からこの住宅を居住のように供し申告した。
請求人の主張
既存住宅については改装工事は必要である。
租税特別措置法関係通達は新築家屋の「新築の日」または増改築等の「増改築の日」を建物の引き渡しを
受けた日をいうものと取り扱って差し支えないと定めているのであるから、「取得の日」についても、
改装工事などが完了した21年3月29日となる。
原処分庁の主張
建築工事を伴う場合には、新築の日などが必ずしも明らかでないことから税務上の取り扱いを定めたもの。
既存住宅の「取得の日」にまで推進する事はできないので、取得の日は所有権を取得した20年7月14日である。
審判所の判断
家屋の取得の日とは、居住の用に供することが可能になったと認められる日、すなわち、その家屋の所有者
が住宅としての機能を有する状態でその家屋の引き渡しを受けた日を指すものと解することが相当。
居住に高齢者居住用に修繕が必要であったとしても、明確な主張も必要な立証もなく、この建物には
売買契約直前まで人が住んでいたことを考えれば、客観的にみても住宅の機能を有せず、居住可能な状態では
なかったと認めがたい。よって請求人の主張は退けられた。
リフォームの需要が高くなり、今後このような事で折角の税額控除を無駄にしないためにもこの判例は
よく覚えておいて頂きたいと思います。
※1中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除) 国税庁
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1214.htm