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コラム
家賃滞納された場合の税務の対処・・・・貸倒損失と貸倒引当金
以前、貸倒損失と貸倒引当金についてご紹介させて頂きました。
その違いを確認頂いた上で、家賃の滞納があった場合、経理上どのような対処をすべきかQ&A方式で
ご紹介させて頂きます。
Q 家賃の滞納があった場合の家賃は、計上しないでよいのか。
A 滞納家賃も未収入金として計上し、その年の不動産所得に算入されて所得税の対象となります。
※ ただし、現金主義会計を適用している場合には実際に入金された家賃だけ計上し、滞納分は計上しなくて
よいものとしている。
(現金主義会計とは、青色申告者であって前々年分の不動産所得や事業所得の合計額が300万円以下の者で
、適用を受ける年の3月15日までに届出書を税務署に提出しなければならない)
Q それでは滞納の間は未収家賃として課税対象になるのか。
A 課税されます。
Q 未収家賃を放棄した場合は
A 貸倒損失と認められた場合で、借主に免除額を通知した場合は必要経費に算入されます。
Q 通知なしでは貸倒損失と認められないのか
A 債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明確になった場合は、
敷金などを引いた未収家賃の全額を、その年の必要経費として算入できます。
Q 賃貸借契約に保証人がいる場合、保証人も上記の状態とにならないと貸倒損失とならないのか。
A そのとおりです。
Q 滞納家賃で貸倒が確定してなくても必要経費に算入できないのか。
A 一括評価法で必要経費に算入できます。
{(未納家賃などの年末における債権額)-(これに対応する保証金などの預かり金)}×5.5%
Q もっとたくさん必要経費にできる方法はありますか
A 個別評価法なら50%まで貸倒引当金として必要経費にできる場合があります。
借家人が会社更生法の更生手続き開始、民事再生法の再生手続き、破産法の破産手続開始などの申し立てが
あれば{(未納家賃などの年末における債権額)-(これに対応する保証金などの預かり金)}×50%が可能です。
Q 破産しても回収できるのか
A 家賃の未納になった年から5年以内に弁済される金額以外の額を貸倒引当金に繰り入れることができます。
Q 貸倒引当金を設定した後は
A その明細を申告書に記載します。そしてその引当金の全額をいったん収入金額に戻して算入し、
その時の状態で算定した金額で、再び引当金を設定して、ということを毎年繰り返します。
Q 回収不能となった場合に
A 貸倒損として計上します。
このような事態が起こらないように管理会社と連携して健全な
賃貸経営をしていかなければなりませんが、万が一の対策も大事な経営のひとつですね。