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コラム
賃貸人が修繕義務を履行しなかった場合に家賃の減額はできる!?
少し前の判例にはなるのですが、今回の大雨に因んでご紹介いたします。
事案の概要
Yは1階店舗、2階住居の店舗付き住宅をXから賃借していた。その賃料は10万円とする。
2階部分は3DKの間取りで居住した翌年からすべての部屋と押し入れから雨漏りがあり、
押し入れに関しては布団などが使用不可能になるくらいであった。
この雨漏りによる修繕をXに依頼したが、修繕はされなかった。
結局、Yが建物を引き渡すまで一度も修繕はされなかった。ただ、1階部分には雨漏りはなかった。
これに対し、Yは雨漏り発生時から賃料の支払を拒絶し、
Xに対し、上記使用不能部分の割合に応じて賃料を減額する旨意思表示した。
しかし、Xは減額に応じず、Yに対し、明度日までの賃料の支払を求めた。
判決の要旨
本建物の2階部分はXの修繕義務の不履行により使用できなかった。
その修繕義務の履行が、賃借人の使用収益に及ぼす損害が一部の場合は、
賃料支払い義務を逃れることはできないが、
民法第611条第1項((賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等))を有すると解される。
本件の場合、減額される金額は、使用できない状態の部分の面積の本件建物全面積に対する割合と
Yの店舗部分自体の使用収益にはさしたる障害は生じなかったこと及ぴ雨漏りの状況等の諸般の事情に鑑み、
本件賃料額全体の25%をもって相当とする。
今回は、民法第611条第1項を類推適用したものであるが、費用を相殺する方法もあります。
ただし、今回のケースのようにすべてが相殺できるものではないのでそれぞれの事案に応じてまずは
相談してください。