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コラム
マンション管理費に含むインターネット利用料。 未使用の場合の支払い義務は...
マンションで管理費といえば、共用部分の維持管理をイメージされると思います。
近年、インターネット設備があるマンションではネットの使用料込みで
管理費を徴収しているものも多いのです。 ここで、疑問を感じる方もいるかと思います。
ネットを未使用を理由に管理規約で決まったネット使用料込みの管理費の支払いを拒否できるのか。
今回は、この疑問を判例でご紹介します。
事案の概要
本件マンションは、全住戸にインターネットを常時接続できるサービスがあり、管理規約で区分所有者は
月額2000円の利用料金を管理費に含めて支払うことになっていた。
しかし、区分所有者のYはネット未使用を理由にネット分の管理費を拒んだため、管理組合は、
①ネット料金を含む管理費、②水道使用料(水道代も管理費に含まれている)③弁護士費用(相談料)
そして、完済までの弁護士費用の遅延損害金を請求する裁判を起こしました。
これはネット未利用の区分所有者も管理規約に則り支払うべきか。
これは区分所有者間の利害の均衡が図られているのか。
判決の要旨
本件インターネットの設備そのものは区分所有者が共有するマンションの資産であるから、
その保守管理費用は資産価値の維持ないし保全に資するもので、費用は区分所有者が一律に負担すべき。
また、全戸に一律ネットサービスが提供されていることは、マンションの価値増大に資するものだから、
利用の有無にかかわらず、費用支出による利益を受けているものである。
管理規約は区分所有法の趣旨に照らしても利害の均衡が図られていないとはいえない。
よって、
①ネット料金を含む管理費、②水道料金、③弁護士費用の支払いを命じた。
ただし、遅延損害金の支払いについては棄却されている。