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退職した場合はいつまでに明渡し!? 社宅と公務員宿舎の場合
今回は退職した場合の社宅と公務員宿舎の明渡しについてテーマを事例をあげてご紹介します。
まず社宅の場合ですが、
①社宅に住まいのAさんは近隣相場と同等の家賃を支払い社宅に住んでいました。
今回、Aさんは定年前に依願退職をすることにしたところ、会社から退職後直ちに社宅を明け渡すように要求されました。
さて、直ちに明け渡さなければならないのでしょうか。
次に公務員宿舎の場合です。
②Bさんは国家公務員です。2年後に定年退職する予定です。
定年退職後、直ちに公務員宿舎を明け渡さなければならないのでしょうか。
ここでポイントになるのが、借地借家法の適用があるかどうかです。
こんな判例もあります。
従業員専用の寮の使用関係において、世間並の家賃相当額を使用料として支払っている等の事情が認められるときは、
その使用関係を賃貸借と判断して妨げないとして、借地借家法の適用を肯定した例があり、反面、低額の使用料しか支払っていない場合に社宅使用関係を賃貸借関係ではない特殊な使用関係として、借地借家法の適用を否定した例もあります。
このように、使用料が使用の対価性をもつかどうかを重視する判例の考え方によれば、
①のケースは借地借家法の適用をうけ、会社による正当事由が発生後、6カ月の明渡し猶予が与えられます。
それでは②の公務員宿舎の場合も同様かといいますと…
結論は20日以内に明け渡さなければならないのです。
その理由は、国家公務員に貸与される公務員宿舎は、公用財産に属し、その使用関係については、
国有財産法の特別法である国家公務員宿舎法が規律しています。
(公務員宿舎を含む行政財産の使用収益については、借地借家法の適用はありません)
しかし、これにも相当の事由がある場合には、維持管理機関の承認を受けて、一定期間使用することができます。
この最大期間は6カ月です。