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コラム
不動産売買における判例・・・・ 土地としての取引の場合は取得価格は0円!?
この不動産売買契約の対象は土地として取引を行いました。
それでは、その土地上にあった構築物の簿価は0円なのでしょうか。
この構築物の取得価格は、損金算入する減価償却費の計算の基礎になりますから、
法人の所得計算においては重要な問題です。
今回はこの取得価格における判例をご紹介します。
この土地を購入した法人は、売買対象を土地として、「土地」「構築物」を取得しました。
そして、一定の取得価格を付したうえで減価償却費を損金に算入しました。
これに対して、税務署側は、本件の構築物は無償取引なのでその減価償却費の損金算入は
認められない、と更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしました。
この双方の主張をまとめてみます。
法人は、
①業務に関連する車両を出入りさせるために構築物が必要であり、更地の土地を取得する必然性はない。
②土地の適正時価よりも高い価格で売買契約を行っている。
一方、税務署側は、
①売買契約書に本件構築物を売買対象とする記載がなく、売買の交渉の経緯でも対象となっていない。
②法人は売買に伴う融資を受ける際、金融機関には土地を購入すると説明していた。
③法人は購入した年度の償却資産申告書に本件構築物を含めておらず、翌年からの申告をした。
さて、この段階でみなさんはどう思いますか。
裁判所が下したのは取得価格は0円ではない!
よって法人の主張が認められました。
では、なぜ!?
税務署側の①②は判断材料としてはさほど重要ではなかったようです。
本件で重視されたのは、
法人の主張である①が大きな要因でした。
この是正勧告により、実際に車両を保管できる場所を探さなければならなかったという状況になったということです。