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不動産経営での個人・法人の税負担の比較
前回よりご紹介させて頂いてます、「賃貸経営での個人と法人のそれぞれのメリットとデメリット」ですが、
今回は具体的な数字を使ってみて頂きたいと思います。
個人と法人の課税所得を500万円・1000万円・3000万円・5000万円別に所得税・住民税・事業税を算出します。
※以下には消費税は加えておりません。
※個人の事業税は課税所得から290万円の事業主控除を引いて税率5%を乗じて求めております。
それでは個人から紹介します。
課税所得 所得税 住民税 小計 事業税 合計
500万円 572,500. 500,000. 1,072,500. 10,500. 1,177,500.
1000万円 1,764,000. 1,000,000. 2,764,000. 35,500. 3,119,000.
3000万円 9,204,000. 3,000,000. 12,204,000. 1,355,000. 13,559,000.
5000万円 17,204,000. 5,000,000. 22,204,000. 2,355,000. 2,459,000.
次に法人の税額です。
課税所得 所得税 住民税 小計 事業税 合計
500万円 750,000. 129,750. 879,750. 148,000. 1,027,750.
1000万円 1,650,000. 285,450. 1,935,450. 374,000. 2,309,450.
3000万円 6,750,000. 1,167,750. 7,917,750. 1,434,000. 9,351,750.
5000万円 11,250,000. 1,946,250. 13,196,250. 2,494,000. 15,690,250.
上記の比較をみると所得金額が大きくなるにしたがって、その差が開いてますね。
法人の方が税率の差だけでなく、必要経費でも有利という事になります。
そして法人化すると以下のような給与所得控除もあります。
収入金額 給与所得控除額
165.2万円以下 65万円
165.2万円超え180万円以下 収入金額×40%
180万円超え360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超え660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超え1000万円以下 収入金額×10%+120万円
1000万円超え 収入金額×5%+170万円
さらに減価償却についても所得税では原則定額法であり、
強制償却なのでその年の必要経費に算入しなければなりませんが、
法人の場合は原則定率法であり、任意償却なので法定償却以下の額ならいくらでも、
しかも償却費を計上しなくてもよういということになっています。
借入の利子にも違いがあり、個人の場合に経費に算入されるのは、
不動産の収入を得るために直接必要な借入金の利子に限られています。
法人の場合は、不動産の取得・運営と直接繋がりがなくても
会社の運営に必要な借入金の利子であればすべて損金算入されます。
交際費は、所得税の場合は交際費と認められた場合は全額が必要経費ですが、法人の場合は
(資本金が1億円以下の法人)交際費600万円以下の部分の90%までが損金に算入されます。
不動産賃貸業でも当然赤字が続く事もあります。
その際の繰越控除や繰戻し還付ですが、個人の場合の繰越控除は、近年3年間の純損失
までですが、法人の場合は事業開始の日の前の9年以内(以前は7年)
に生じた欠損金まで控除できます。