FAQ
賃貸管理トラブル集
- 無断駐車している自動車に車止め、そして貼り紙はトラブルに発展しないか。
- 無断駐車の現行犯を告訴できるのか。
- 解約済である車検切れの車への対応
- 近隣からの損害賠償請求
- 建物賃貸借の借主が近隣に迷惑行為を行って困っている。どのように対応したらいいか
- ゴミ出しのルールを守れない借主に対して契約解除は可能か
- 不法駐車に対する対応
- 共用部分や敷地に放尿する入居者がいる。契約を解除できるか。
- 建物から盗聴器
- 騒音問題(法律の基準値)
- ゴミ問題(入居者のマナー)
- 県からの紹介による賃貸借契約後のトラブル
- 深夜の騒音による近隣への迷惑
- 喫煙に対する居住者同士のトラブル
- ゴミ屋敷状態からの改善のない場合の更新拒絶は
- 借主の子供による落書き等の責任は
- 公共水路上に大量のゴミ
- 同居人が反社会的組織に属している
- 入居者・連帯保証人が刑事事件を起こした場合(法人契約)
- 迷惑行為をかける身寄りのない借主への対応
- 証拠収集の為に共用部分にカメラ設置は可能か
- マンションの一室の借主で騒音を出す人がいるが、騒音に基準はあるのか
- 騒音による損害賠償
- 賃貸借の対象外まで占有している
- 共用部分に荷物を置いている
- 野良猫にえさを与えている
- 衛生上問題ある格好での歩き回っている
- 入居者による新規募集へのいやがらせ
- 隣室へのいやがらせ
- アルコール依存症での奇行での近隣への迷惑行為
無断駐車している自動車に車止め、そして貼り紙はトラブルに発展しないか。
多数の自動車が管理している月極め駐車場に所有者の許可なくとめてしまうところ、
許可なく停めている自動車の車輪に車止めをつけても法律上問題はないか。
なお「許可なく停めた場合には1カ月分の賃料相当額を頂きます。」との貼り紙の効果はない。
許可なく停めている自動車の車輪に車止めをつけても法律上問題はないか。
なお「許可なく停めた場合には1カ月分の賃料相当額を頂きます。」との貼り紙の効果はない。
まず、貼り紙の件ですが、物の効用を焼失させる一切の行為である、
器物破損の損壊に該当する可能性があります。
ただし、無断駐車車両に対する正当な警告行為として、違法性が阻却されるとも考えられます。
このトラブルを回避するためには、駐車場に「土地所有者権貸主ないし管理者の許可なく停めた自動車の車輪には車止めを付けます。」と掲示しておくことをおすすめします。
そして、無断駐車をしている者から連絡があれば、直ちに外すことを前提に行うのであれば、
不法行為者特定のためのやむ得ない行為として、許容される余地があると思います。
器物破損の損壊に該当する可能性があります。
ただし、無断駐車車両に対する正当な警告行為として、違法性が阻却されるとも考えられます。
このトラブルを回避するためには、駐車場に「土地所有者権貸主ないし管理者の許可なく停めた自動車の車輪には車止めを付けます。」と掲示しておくことをおすすめします。
そして、無断駐車をしている者から連絡があれば、直ちに外すことを前提に行うのであれば、
不法行為者特定のためのやむ得ない行為として、許容される余地があると思います。
無断駐車の現行犯を告訴できるのか。
月極め駐車場に無断で自動車を留めている人がいて、現場を押さえた。
その場合、業務妨害罪で告訴することはできるのか。
その場合、業務妨害罪で告訴することはできるのか。
業務妨害罪の成立には以下の3つの行為が必要となる。
「風説の流布」「偽計」「威力」
しかし本件については、これらの行為がなく、業務妨害罪で告訴することは困難である。
ただし、事情によっては、無断駐車した者に不当利益返還請求ないし、
不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられる。
「風説の流布」「偽計」「威力」
しかし本件については、これらの行為がなく、業務妨害罪で告訴することは困難である。
ただし、事情によっては、無断駐車した者に不当利益返還請求ないし、
不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられる。
解約済である車検切れの車への対応
駐車場契約で、解約済みであるにもかかわらず、
当時の借主の車検切れの車がそのまま放置されている。
借主は撤去要請に応じない。どのように対応すべきか。
当時の借主の車検切れの車がそのまま放置されている。
借主は撤去要請に応じない。どのように対応すべきか。
車を放置して駐車場の一部を占有している状態は不法占有に当たり、
少なくとも賃料相当損害金が発生するとして、解約後の賃料相当損害金の支払いを請求し、
その対応の中で車の撤去や所有権放棄及び撤去費用の負担の合意を
取り付ける方向で協議していくことが考えられます。
少なくとも賃料相当損害金が発生するとして、解約後の賃料相当損害金の支払いを請求し、
その対応の中で車の撤去や所有権放棄及び撤去費用の負担の合意を
取り付ける方向で協議していくことが考えられます。
近隣からの損害賠償請求
住宅街の一戸建ての借主Aが落ち葉を全く清掃しない。Aの隣人であるBがAに対し「Aが落ち葉の掃除を全くしないがために、自分が(B)無駄な労力を掛けさせられている。」として損害賠償請求をした場合、認められるか。
住宅街の一戸建ての住人には落ち葉を掃除する法律上の義務があるとする法令は見当たらない以上、Aの不法行為の主張・立証は困難であって、容易には認められないと思われる。
建物賃貸借の借主が近隣に迷惑行為を行って困っている。どのように対応したらいいか
①まず、連帯保証人に協力をお願いする。②それでも改善しない場合は、貸主は賃貸借契約上の迷惑行為禁止条項に基づいて借主との賃貸借契約を解除して任意の建物明渡しを求め、③借主が任意の明け渡しを拒絶した場合は建物明渡し請求訴訟を提起することとなる。(なお、訴訟提起の準備として借主による迷惑行為についての証拠を整理しておく必要がある。)
ゴミ出しのルールを守れない借主に対して契約解除は可能か
ゴミだしルールを守ることも借主として物件を使用する際に当然に要求される用法遵守義務、善管注意義務の一つと考えられる。したがって、それを守らないことは契約違反、債務不履行と評価できる。ただし、解除するためには、その行為のひどさや他の入居者等への影響なども材料として集めておくことが必要である。なお、その処理に過分の費用が掛かる場合には、当該費用を損害と位置づけて損害賠償請求も可能であろう。
不法駐車に対する対応
駐輪場のないマンションに、不法にバイクが止まっている。持主は不明である。撤去を求めるため張り紙等をすることは可能か。
不法に敷地内を占拠しており、かつ持主が不明である以上警告の為の張り紙等はやむえない処置として可能と考える。ただし、容易に剥がせないような貼り方をすると、器物破損罪ともいわれかねないので、貼り方には注意する。
共用部分や敷地に放尿する入居者がいる。契約を解除できるか。
借主は専有部分に限らず、共用部分や敷地に於いても、借主としての善管注意義務に従って利用すべき義務と責任があり、放尿行為はそれに違反するものであるから、解除は可能である。ただし、放尿行為の事実の有無につき争いが生じる恐れがあるので、その証拠をしっかりと押さえておくことが大切である。
建物から盗聴器
一戸建ての賃貸借契約の仲介をしたところ、当該建物から盗聴器が発見された。①借主から貸主に対して「建物を替えてほしい」との申し入れがあったが応じないといけないか。また②貸主ないし仲介業者に何らかの法的責任は生じるのか。
①について、建物から盗聴器が発見されたからといって、賃貸の目的たる建物を替えなければならいない法律上の義務はない。無論、貸主が任意に応じることは可能である。②について、貸主にも仲介業者にも賃貸の目的たる建物に盗聴器が仕掛けられていないかを調査・確認する法律上の義務はない。したがって盗聴器がしかけられている事を知り得る状況にあった等の特段の事情がない限り、貸主ないし仲介業者には法的責任はないと思われる。
騒音問題(法律の基準値)
木工所の経営者が、木工所の隣地に建てたアパートを賃貸している。最近、アパートの一室に入居した借主が、「木工所の音がうるさい」と貸主兼木工所の経営者にクレームをいれてきた。なお木工所は約15年ほどからあるがクレームは一切なかった。そこで貸主は借主に部屋を移ることを提案したが、借主は「現在の部屋が気に入っているからいやだ」といって拒否しつつ「木工所の騒音は法律が規制する値をこえていると思うから役所に処分をもとめる」などと言い出した。借りに法律の基準値を超えている場合は役所が木工所に処分を下すことはあるのか。
当該地域の音に関する規制は及び規制を超える音を出した場合の処分については、地方自治体の条例で決めていることから、この点につき、まず、当該地域の地方自治体の担当部署に問い合わせて確認する。仮に、その音が、法律で規制する値を超えていた場合、通常は、地方自治体から事実確認の連絡、法律の規制を超える音を出すのを中止する事をもとめる要請戸の連絡があり、その要請に木工所が応じない場合には処分されることがあると思う。
ゴミ問題(入居者のマナー)
共益費で一定のゴミの回収費用を見込んでいたが、居住者のマナーが悪く、ゴミ処理に多額の費用がかかることになった。共益費の値上げを考えているが可能か。
共益費の構成要素のコストが増大するという実質的な根拠があり、そのことを借主に説明し、合意が得られれば増額は問題ない。ただし、増額の合意が出来ない場合には、そもそもコストが膨らむ原因を作ったマナー違反者を特定し、その者には増額分の負担を求める事を検討する。
県からの紹介による賃貸借契約後のトラブル
DVの被害者につき、県からの紹介などに基づき賃貸借契約を結んだが、その後もその借主の奇行が激しく、貸主側も困っている。県に相談しても明確な対応はしてくれない。どのようにすればよいか。
奇行が激しく近隣迷惑行為とされる場合には、契約解除も可能である。DV被害者に対する賃貸で注意すべき点は、加害者に対し被害者の居所を明かさないということであり、それ以外については一般の契約関係者と代わるところはない。県の担当者に事情を話し、公営住宅の斡旋等の手配をしてもらって契約終了に向けて対応することが考えられる。
深夜の騒音による近隣への迷惑
貸借契約の借主が夜中に大きな音で音楽を聴くなど近所迷惑が甚だしい。また、借主は一見して、精神状態が普通でない状態である。借主は現在仕事をしておらず生活は姉が支えているようだ。賃料支払いも遅れがちであるが、本件賃貸借契約には賃料の保証会社が付いているため、現在、未払い賃料はない。ただ、貸主としては今後、近所からクレームが入り、近所関係が悪化する事を恐れ。今般、本件賃貸借契約の契約更新時が近づいているのを機会として、その更新を拒絶し、借主には退去してもらいたいと考えている。
今後も近所からクレームが入る可能性が高く、借主に本物件を退去する方向で検討してもらうべきである。費用を考え、まず任意での退去を求めるべきであるが、借主本人が普通の精神状態でないことから借主本人との直接交渉は避けたいところである。そこで、借主の姉に相談すべきである。借りに、任意での退去が難しい場合、裁判を提起せざるを得ないが、この場合、裁判では本件賃貸借契約の更新拒絶に付いての正当事由の有無が判断される。そのため、借主が近所迷惑を撒き散らしている状態に付いての証拠を残しておくべきである。
喫煙に対する居住者同士のトラブル
居住者間のトラブル。1階の借主の喫煙に対し2階借主が管理業者に対してどうにかしてほしいと苦情が持ちかけられた。1階の借主は場所や時間を決めて吸っているが、2階の借主は納得しない。どのように対処すべきか。
いまだ他の入居者への影響等がない以上、賃貸借契約の問題として貸主及び管理会社で何らかの法的手段をとる状況にない。状況を聞く限り、2階借主の受忍の限度の範囲であり、法的に2階借主の主張がとおることは困難であることを前提に、当事者間で話し合いをしてもらうしかないと考える。
ゴミ屋敷状態からの改善のない場合の更新拒絶は
物件がゴミ屋敷状態になっている。6ヶ月前から状況が改善しない限り契約継続は出来ない旨を伝えてあるが、現段階でもほとんど変わっていない。間もなく更新時期がくるが、契約終了させたい。どのような手法があるか。
まずはゴミ屋敷状態で、近隣への迷惑、物件への影響、そもそもの借主としての用法義務違反、善管義務違反ということで契約解除が考えられる。更新拒否も可能(正当事由あり)とも考えられる。
借主の子供による落書き等の責任は
無能力者の不法行為については、監督義務者が責任を負う(民法714条)親である借主に請求する事が可能。
公共水路上に大量のゴミ
公共水路をはさんだ隣家が、公共水路上に多量のごみ等を放置している。何等かの対応をとることは可能か
公共水路上のゴミ等を、所有権に基づき撤去せよという主張は困難であるが、当事者間で債権債務としてゴミを置いて迷惑をかけない旨の合意をしておき、もし当該合意に反したら、損害賠償という形で解決を図るという手法が考えられる。
同居人が反社会的組織に属している
女性と子供に賃貸していたところ、暴力団構成員が同居人となった。同じ建物内の他の入居者から何とかしてほしいと依頼があるが、契約解除などできるか。
同居人の追加につき、承諾事項としていれば、無断での同居人の追加と、実際に同居人が増えたことにより周囲への影響等に相違が生じたことなどを総合して、信頼関係の破壊として解除する事も可能である。また、賃貸契約時に暴力団構成員であることを秘匿して契約した場合は、詐欺等により契約を取り消し、または信頼関係破壊として解除する事も可能である。それ以外では、単に暴力団構成員であるということだけではなく、実際にそのことにより、どのような影響が生じているのかもあわせて、契約終了の可否を検討する必要がある。
入居者・連帯保証人が刑事事件を起こした場合(法人契約)
法人契約で、入居者・連帯保証人が暴力団構成員。事件をおこし、警察沙汰にもなっている。契約を解除したいが留意点は。
契約上の借主と入居者が異なっていることをどうクリアーするかがポイントになる。具体的には以下の対応を検討する。①一人会社のような法人=入居者個人と評価できる場合には、法人の信義則違反として契約解除を図る。②法人契約の場合、借主として実際の入居者に契約上の義務を遵守させる義務があるのだから、当該義務違反行為を根拠に契約解除をする。③実際の入居者が暴力団構成員であることから、法人自体もそれに準ずるケースも考えられるので、警察に相談する。
迷惑行為をかける身寄りのない借主への対応
借主が精神病で身寄りがない。物件の使用に際し火事等の危険もあり、周囲への迷惑行為もある為、契約を解除したいが可能か。行政サイドからは本人の申し出がない限り入院等の処置はとれないとしている。
近隣迷惑行為等の違反行為があって、今後もその恐れが高いという事情があれば、そのことをもって解除できる。行政も、正規の法的手続きのもとに明渡しが求められれば、対応を取らざる得ないことから、解除明け渡し訴訟をして、明渡し判決を添えて行政に新住所の斡旋を申し出、対応を図ることが考えれる。
証拠収集の為に共用部分にカメラ設置は可能か
集合住宅の借主の中に音に敏感な借主Aがいる。そして、Aの隣室の借主Bは、夜中に部屋のドアを蹴られることが度々あると話している。そのドアを蹴る人はA以外に考えられないが証拠がない。証拠を収集すべくAとBとの部屋のある共用廊下にカメラの設置は可能か。
プライバシー侵害の問題となる余地はあるが、目的の正当性・補充性(他にとることのできる手段の有無等)・手段の相当性(必要最低限度か否か)が認められれば違法とはされないと思われる。そして、本件においては、借主間のトラブル防止という目的の正当性が認められ、また、他にとることのできる手段がない(警備員を24時間張り付けるのも費用の観点から事実上不可能)ことから補充性も認められ、さらにAがBのドアを蹴る現場を撮るのに必要最低限度の手段でビデオ録画がなされれば手段の相当性も認められるといえる。
マンションの一室の借主で騒音を出す人がいるが、騒音に基準はあるのか
社会通念上の受忍の限度を超えているか否かが基準となるが、具体的にどの程度の音を出すと騒音になるのか明確な基準がない。騒音防止条例等で定められている数値も、ひとつの参考として考えるべきである。
騒音による損害賠償
軽量鉄骨造りの建物で、1階が店舗、2・3階に所有者が住んでいる。1階店舗はネイルサロンで店内は静かな環境である必要があるが、上階に住んでいる所有者が大きな音を立てるため、営業にならない。借主から損害賠償を請求できるか。
音の問題は受忍限度論が適用され、実際の音の状況を記録として明確に残し、どの程度音なのか、それが受任を超えるものなのか、証拠をそろえる必要がある。また、この場合賃貸借における貸主の義務違反(物件を契約目的に従い提供すべき義務)も問題となりえるが、ことさらに営業妨害的に音を出しているなどの事情があるとか、1階店舗に静寂な環境を提供するなどの特約がある場合などでない限り、当該義務違反とすることも困難であると考える。ただし、いずれにしても当事者同士では解決が難しい問題であり、調停の利用も検討すべきではないか。
賃貸借の対象外まで占有している
敷地の借主が、賃貸借の目的となっていない土地まで勝手に洗濯物を干したりしている。やめさせる方法は。
借主に対し、賃貸借契約の対象外の土地の使用禁止を申し入れる。借主が応じない場合は、調停を申し立てる。調停では話し合いがつかなければ、賃貸借契約の対象外の土地の使用禁止、及び今まで及び使用を禁止するまでの賃料相当使用損害金を請求する訴訟を提起する。
共用部分に荷物を置いている
アパートの共用部分に大量の荷物を置いている借主がいる。専有部分で保管するように求めても応じないことから、貸主は当該借主に対し、賃料相当損害金の請求をしたいとかんがえている。
借主は、共用部分を専有部分的に使用する事についての賃料は負担していないことから、借主に対する賃料相当使用損害金の請求は認められる可能性は高いと考えられる。ただし、仮に認められる場合でも、借主が使用している共用部分はそれほど広いわけではないので、賃料相当損害金の金額はそれほど高い金額にならないと思われる。
野良猫にえさを与えている
アパートの借主が野良猫に餌を与え、近隣にも迷惑をかけている。契約を解除する事は可能か。
借主の善管注意義務に反するとして、当該行為をやめるよう警告したうえで、解除する事も可能と考える。この場合、近隣からの苦情により貸主も対応に苦慮しているなどの事情があれば、信頼関係破壊の要素として活用できるので、そのあたりの事情も押さえておくことが望ましい。
衛生上問題ある格好での歩き回っている
借主の1人が、汚い格好などで建物内を歩き回ったりして、他の入居者からも苦情がきている。どのように対処すべきか。賃料の支払い等は問題ない。
他の借主が退去を余儀なくされて貸主の賃貸経営上損害が生じている場合であれば、法的処置も可能であるが、現状ではなかなか難しい。ただ当人に対しては、共同物件内の居住者の一員として、他の入居者の事も考えての行動をお願いしつつ、今後の状況を検討していくほかないのではないか。
入居者による新規募集へのいやがらせ
上下階の借主間に騒音問題が生じ、結局上階の借主が退去した。その後、その部屋につき、一定の防音工事を施したうえで新たな入居希望者を案内していたところ、入居させないようにクレーム等をつけてくる。当人とは話し合いが持てる状況ではない。どのように対応すればよいか。
主・管理業者においては、通常一般人において問題にならないようなレベルでの設備等を提供すれば義務を尽くしたことになり、防音対応をしている以上、貸主等においてこれ以上対応すべき義務はない。にもかかわらず、下の階の借主が入居妨害等を行うのは不法行為に該当して、損害賠償を請求し得るとともに、当事者間の信頼関係を損ない、かつ貸主に損害を与える行為をしているものとして、契約の解除もあり得る。調停等第3者を介在させての法的手段による対応を検討する事が考えられる。
隣室へのいやがらせ
賃貸アパートに入居している借主Aが隣の部屋の借主の郵便受けに頻繁に「うるさい」と書いた書面を投げ込んだりしている。しかし隣室の借主が特にうるさくしたいる事情は見当たらない。貸主としては迷惑行為をしている借主Aに退去してもらいたいと考えている。貸主はどのようしたら借主Aを退去させれるか。
借主Aには賃料不払い等の明確な契約違反が見当たらないことから、貸主が借主Aに退去を求める根拠としては、契約書上の「迷惑行為禁止条項」に求めざるをえない。しかし、本件において、当該借主Aが行っている投函行為が賃貸借契約を解除できるほどの迷惑行為といえるかは慎重に検討する必要がある。そこで、貸主はまず、借主Aの迷惑行為の事実及び証拠を収集した上で話し合い、話し合いが決裂した場合は調停を申し出る。調停での話し合いは貸主が解決金を支払えば借主Aが退去を求める可能性はなくはない。なお、調停でも話し合いがつかない場合、貸主はあくまでも借主Aに退去を求める場合は訴訟を提起せざるをえないが、本件の事情のみでは勝訴できる可能性は高いと思われない。
アルコール依存症での奇行での近隣への迷惑行為
契約書の「近所に迷惑をかけない」との内容条項を根拠として、賃貸借契約の解除の主張をしてみる。ただし、裁判所をしても勝訴の且つ率は高いと言えないことから、訴訟を提起する前に、まずは調停を申し立て、貸主の窮状を調停員に伝えて、調停委員から借主に説得してもらって建物から退去してもらう方法を模索してみる。