FAQ 賃貸管理トラブル集

賃貸借の対象外まで占有している

敷地の借主が、賃貸借の目的となっていない土地まで勝手に洗濯物を干したりしている。やめさせる方法は。
借主に対し、賃貸借契約の対象外の土地の使用禁止を申し入れる。借主が応じない場合は、調停を申し立てる。調停では話し合いがつかなければ、賃貸借契約の対象外の土地の使用禁止、及び今まで及び使用を禁止するまでの賃料相当使用損害金を請求する訴訟を提起する。

騒音による損害賠償

軽量鉄骨造りの建物で、1階が店舗、2・3階に所有者が住んでいる。1階店舗はネイルサロンで店内は静かな環境である必要があるが、上階に住んでいる所有者が大きな音を立てるため、営業にならない。借主から損害賠償を請求できるか。
音の問題は受忍限度論が適用され、実際の音の状況を記録として明確に残し、どの程度音なのか、それが受任を超えるものなのか、証拠をそろえる必要がある。また、この場合賃貸借における貸主の義務違反(物件を契約目的に従い提供すべき義務)も問題となりえるが、ことさらに営業妨害的に音を出しているなどの事情があるとか、1階店舗に静寂な環境を提供するなどの特約がある場合などでない限り、当該義務違反とすることも困難であると考える。ただし、いずれにしても当事者同士では解決が難しい問題であり、調停の利用も検討すべきではないか。

マンションの一室の借主で騒音を出す人がいるが、騒音に基準はあるのか

社会通念上の受忍の限度を超えているか否かが基準となるが、具体的にどの程度の音を出すと騒音になるのか明確な基準がない。騒音防止条例等で定められている数値も、ひとつの参考として考えるべきである。

証拠収集の為に共用部分にカメラ設置は可能か

集合住宅の借主の中に音に敏感な借主Aがいる。そして、Aの隣室の借主Bは、夜中に部屋のドアを蹴られることが度々あると話している。そのドアを蹴る人はA以外に考えられないが証拠がない。証拠を収集すべくAとBとの部屋のある共用廊下にカメラの設置は可能か。
プライバシー侵害の問題となる余地はあるが、目的の正当性・補充性(他にとることのできる手段の有無等)・手段の相当性(必要最低限度か否か)が認められれば違法とはされないと思われる。そして、本件においては、借主間のトラブル防止という目的の正当性が認められ、また、他にとることのできる手段がない(警備員を24時間張り付けるのも費用の観点から事実上不可能)ことから補充性も認められ、さらにAがBのドアを蹴る現場を撮るのに必要最低限度の手段でビデオ録画がなされれば手段の相当性も認められるといえる。

迷惑行為をかける身寄りのない借主への対応

借主が精神病で身寄りがない。物件の使用に際し火事等の危険もあり、周囲への迷惑行為もある為、契約を解除したいが可能か。行政サイドからは本人の申し出がない限り入院等の処置はとれないとしている。
近隣迷惑行為等の違反行為があって、今後もその恐れが高いという事情があれば、そのことをもって解除できる。行政も、正規の法的手続きのもとに明渡しが求められれば、対応を取らざる得ないことから、解除明け渡し訴訟をして、明渡し判決を添えて行政に新住所の斡旋を申し出、対応を図ることが考えれる。

入居者・連帯保証人が刑事事件を起こした場合(法人契約)

法人契約で、入居者・連帯保証人が暴力団構成員。事件をおこし、警察沙汰にもなっている。契約を解除したいが留意点は。
契約上の借主と入居者が異なっていることをどうクリアーするかがポイントになる。具体的には以下の対応を検討する。①一人会社のような法人=入居者個人と評価できる場合には、法人の信義則違反として契約解除を図る。②法人契約の場合、借主として実際の入居者に契約上の義務を遵守させる義務があるのだから、当該義務違反行為を根拠に契約解除をする。③実際の入居者が暴力団構成員であることから、法人自体もそれに準ずるケースも考えられるので、警察に相談する。

同居人が反社会的組織に属している

女性と子供に賃貸していたところ、暴力団構成員が同居人となった。同じ建物内の他の入居者から何とかしてほしいと依頼があるが、契約解除などできるか。
同居人の追加につき、承諾事項としていれば、無断での同居人の追加と、実際に同居人が増えたことにより周囲への影響等に相違が生じたことなどを総合して、信頼関係の破壊として解除する事も可能である。また、賃貸契約時に暴力団構成員であることを秘匿して契約した場合は、詐欺等により契約を取り消し、または信頼関係破壊として解除する事も可能である。それ以外では、単に暴力団構成員であるということだけではなく、実際にそのことにより、どのような影響が生じているのかもあわせて、契約終了の可否を検討する必要がある。

公共水路上に大量のゴミ

公共水路をはさんだ隣家が、公共水路上に多量のごみ等を放置している。何等かの対応をとることは可能か
公共水路上のゴミ等を、所有権に基づき撤去せよという主張は困難であるが、当事者間で債権債務としてゴミを置いて迷惑をかけない旨の合意をしておき、もし当該合意に反したら、損害賠償という形で解決を図るという手法が考えられる。

借主の子供による落書き等の責任は

無能力者の不法行為については、監督義務者が責任を負う(民法714条)親である借主に請求する事が可能。