FAQ 賃貸管理トラブル集

無断駐車している自動車に車止め、そして貼り紙はトラブルに発展しないか。

多数の自動車が管理している月極め駐車場に所有者の許可なくとめてしまうところ、
許可なく停めている自動車の車輪に車止めをつけても法律上問題はないか。
なお「許可なく停めた場合には1カ月分の賃料相当額を頂きます。」との貼り紙の効果はない。
まず、貼り紙の件ですが、物の効用を焼失させる一切の行為である、
器物破損の損壊に該当する可能性があります。
ただし、無断駐車車両に対する正当な警告行為として、違法性が阻却されるとも考えられます。
このトラブルを回避するためには、駐車場に「土地所有者権貸主ないし管理者の許可なく停めた自動車の車輪には車止めを付けます。」と掲示しておくことをおすすめします。
そして、無断駐車をしている者から連絡があれば、直ちに外すことを前提に行うのであれば、
不法行為者特定のためのやむ得ない行為として、許容される余地があると思います。

畳替え特約(個人契約)

個人を借主とする賃貸借契約において、原状回復義務の内容として、畳替えを借主負担とする特約を締結した。この特約は否定される可能性はあるか。
消費者保護法10条や、明確な合意の不存在により、否定される可能性が高い。

事業者に対する原状回復特約の請求(事例)

貸主と借主はビルの一室について、賃貸借契約を締結していた。なお本賃貸借契約には原状回復を借主とした特約があった。しかし借主は本賃貸借契約終了に基づき本件建物を退去するにあたり、原状回復をすることなく退去してしまった。そのため貸主は、①壁紙取り換え費用として約4万円②フロアマット取り換え費用約4万円を負担した。③未払い共益費等約12万円がある。貸主は借主に対し①から③を当然に請求できるか。
借主は事業者であることから、貸主と借主との間の本件原状回復特約は有効である。したがって、貸主が借主に対して①請求できる②建物の損耗とはいえない場合は協議③当然に請求できる。ただし、①から③の合計金額は約20万円でそれで裁判しても費用倒れになる可能性もある。差押え可能財産も不明である場合もあるのでリスク回避の為に支払催促命令の申し立てからするべきと考える。

無断駐車の現行犯を告訴できるのか。

月極め駐車場に無断で自動車を留めている人がいて、現場を押さえた。
その場合、業務妨害罪で告訴することはできるのか。
業務妨害罪の成立には以下の3つの行為が必要となる。
「風説の流布」「偽計」「威力」
しかし本件については、これらの行為がなく、業務妨害罪で告訴することは困難である。
ただし、事情によっては、無断駐車した者に不当利益返還請求ないし、
不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられる。

鍵交換費用(契約書に借主負担記載)

退去時の鍵の交換費用を借主負担とする契約に基づき、当該金額を請求したところ、それは貸主の為のものであるという理由で拒否されたが、この主張は正当か。

明確に合意があれば

原状回復の一環としてとらえれば、鍵の交換負担は借主負担部分からは除かれる。ただし、特約事項として明確に合意がされたのであれば、それはそれで有効となり得る。手続き面で明確な合意があったといえる状況であったかを精査する必要がある。

通常使用以上の損耗における請求

借主の通常使用を超えた使用により損耗が生じたため原状回復を求めたが、きわめて少額しか支払わないとしている。どう対応すれば...

明確に示すことが大事

国土交通省住宅局が、とりまとめて公表している原状回復ガイドラインの基準に従い算出したものであれば、その額を敷金から差し引いて返還する。もし借主が裁判に持ち込んできた場合に備え、ガイドラインベースの算出であることを明確に示せるようにしておくことが大切である。

退去日に連絡が取れなくなった場合 (残地物)

契約が終了し、借主自身は退去したが、中に借主の所有と思われる物が残っている。この場合、明渡しが完了していないとして中の物を引き取るまで賃料が発生すると考えてよいか。
確かに明渡しが完了していない以上、契約は継続したままと考えれば賃料を請求する事は理屈上可能である。ただし、契約が継続していると考えると、仮に借主が戻ってきた場合、退去を求めるためには改めて契約終了明渡しの手続きが必要となってしまう。したがって、この場合、残地物がある事によって契約終了後も占有が継続しているとして、「賃料相当損害金」が発生すると考えた方がよいのではないか。

原状回復をこえた損害賠償

未成年者の借主、親が連帯保証人となっている。家賃の滞納等いろいろ問題があった後に今般中途で(入居後10カ月)で契約を終了し、退去となった。ところが物件を確認したら、ドアの破損、通常損耗とは考えにくいくらいの汚い状況であったため、敷金から当該補修費用を差し引き、それでも足りなかったのでさらに追加費用を請求したところ、本人も親も、そのような負担には応じないと回答がなされた。

請求すべきである。

借主側は、原状回復の問題と損害賠償の問題とを混同している。本件では原状回復というより、明らかに債務不履行・不法行為による損害賠償の問題であって、借主は応ずべき義務がある。また、仮に原状回復の問題としても、通常損耗をこえるものであることから、借主負担であることにかわりない。損害額の算定をしっかり行ったうえできっちり請求すべきである。

退去チェックの見落としによる再請求

建物の借主が8年間居住した後、期間終了で退去する事となり、退去日の夜、貸主は退去に立会い借主と原状回復の範囲を確認した。しかしその後、昼の明るいところで確認したところ(ペット禁止特約があるにもかかわらず)借主は犬を飼っていて、糞尿で畳及び(畳の下の)床が相当に汚れていると判明した。貸主は借主に対して、畳、床の補修費用を請求する事はできるのか。

特段の事情がない限り難しい。

畳の汚れは夜でも確認する事はできたといえることから、一度請求を放棄したものと評価され、特段の事情がない限り貸主の借主に対する畳の補修費用の請求は認められないと考える。一方、床の汚れについては、明渡し日に(畳の下の)床まで確認する事は困難であったといえることから、床の補修費用の請求は認められる可能性があるといえる。ただし、床を新品に取り換える費用全額の請求は認められない。