FAQ 賃貸管理トラブル集

自殺による被害の補填

管理物件で自殺者がありました。 該当する部屋の補修などで大きな被害を受けました。
入居者募集を行うにも、家賃を下げなければなりません。この減額分は自殺した借主の
連帯保証人等に請求できるか

連帯保証人への請求は、契約書や連帯保証人承諾書などに「一切の債務を...」

と記載されていれば請求できます。



ここで判例を紹介します。



【事案の概要】



賃貸人は賃借人が賃貸物の室内において自殺したことは、賃借人の善管注意義務違反にあたるとして、相続人及び連帯保証人に対して損害金676万円余を求めて提訴した。



【判決の要旨】



①賃借人の善管注意義務の範囲



賃借人が賃借中の室内で自殺したことは、賃貸借契約における賃借人の

善管注意義務に違反したものであり債務不履行を構成するから、相続人には

同債務不履行と相当因果関係のある賃貸人の損害を賠償する責任がある。



②連帯保証人の責任と範囲



連帯保証人は、本件連帯保証契約の範囲は、賃料不払いなどの通常予想される

債務に限られると主張したが、本件には、責任範囲を限定する記載はなく、かつ

「一切の債務」と記載があることから、相続人と連帯して賠償する責任がある。



③賃貸人の損害の算定



本件では本貸室を自殺事故から1年間賃貸できず、その後賃貸するにあたっても

従前賃料の半額の月額3万円での賃貸しかできず、一方、賃貸不能期間(1年)と

契約期間(2年)の経過後は、従前の賃料(6万円)での賃貸が可能であると推認

するのが相当と考えると、逸失利益は132万円余となる。



なお、本件貸室以外の部屋の賃貸に困難を生じるとは認めれないから、本件以外の

部屋に関して賃料の減収が生じているとしても、これは自殺と相当因果関係のある

損害とは認められない。





ここで注意事項です。



自殺のあった部屋以外の他の部屋を貸す場合には、

自殺事故について告知義務はないのではなく、

自殺のあった部屋の隣室を貸す場合には、

原則として説明義務があると認識ください。

賃貸マンションの居室から来訪者が転落…貸主の工作物責任は!

賃貸マンションで、居室の窓枠に手すりがなく、腰壁の高さが約40㎝しかない状況のもとで、来訪者がその窓から転落死したため、来訪者の親族が、建物所有者である貸主に対し損害賠償を請求した事案です。
裁判所は、この状況につき、建物の設置に瑕疵があるとして、所有者である貸主の工作責任を認めた。
ただし、転落した来訪者にも過失があるとして、過失相殺(7割)を認定した。

賃料の改定と敷き金額とは法律上当然に連動するのか

敷金契約と賃料契約部分は別個のものである。したがって賃料改定されても当然に敷金の増減があるわけでない。当事者間の合意のもと、合理的な取り扱いになるように検討すべき。

賃料改定につき増額幅等に制限があるのか

特に制限はなく、借地借家法の賃料増減額請求の要件に準拠して検討すればよい。ただし、例えば近隣相場が1.5倍になっているから、ただちに1.5倍とできるかについては、相手もいることであり、継続賃料の上方硬直性の傾向からもやや難しいと考える。

賃料相場は何をもって決めるものなのか

近隣の同種物件の賃料をもって決めることなどが考えられる。

貸主から賃料増額の通知。どのように対応すれば

貸主と借主との間の建物賃貸借契約の賃料は月額26万円であった。ところが、今般貸主から借主に対し「賃料を31万円にする。」との内容の書面での連絡があった。どのように対処すべきか。
貸主の賃料増額請求について、貸主の賃料増額請求額にかかわらず、借主は、従来の賃料をベースに自ら相当と判断する額を支払えば債務不履行とはならない(借地借家法32条2項)。仮に、貸主が借主の賃料受領を拒んだ場合には借主は遅延損害金を含めて賃料に供託する。その後は貸主の対応いかんである。すなわち、貸主がどうしても賃料を31万円に増額したい場合は、調停を申し立てて、調停が調わなければ、賃料増額を求めて訴訟を提起する。借主は貸主の対応を見て対抗策を検討する事で十分と思われる。

クレームと減額請求

湿度が高くて衣類等にカビが生えそうである。したがって家賃を下げろというクレームがきている。どのように対処すべきか
湿度が高いということと家賃の額とがどのように関連するのか不明であり、まずは十分に調査した上、同じ建物内の他の住戸や、前の借主のときの状況を確認し、当該主張が真実であるかの確認等をすることが大切である。

借主が更新料と賃料(正規の半額のみ)を拒否した場合

建物賃貸借の借主が「賃料を半額にしてもらわないと更新しない」と言って更新料を支払わないばかりか、一方的に賃料の半額しか支払わなくなった。今後どのように対応すれば。
「建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判の確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払いを請求する事が出来る。」(借地借家法32条3項)したがって、貸主は借主に対し賃料未払いを原因として賃貸借契約を解除し、建物の明け渡しを求める事が考えられる。

従来の入居者の家賃は現状で新規募集は減額、可能か。

①新規募集のみ家賃を減額②その情報を得た従来の入居者からの問い合わせがあったときの対応③従来の入居者との交渉として、次回の更新時に家賃を減額するのは。④新規入居者との契約において、「家賃を他人に漏らさない。もし漏らした場合、家賃を増額する(従来と同じ)」という旨の特約付の契約は可能か
①可能である。②経済情勢をかんがみ、やむえなく下げざるを得なかったこと等、誠実に説明するしかないと思われる。③こちら側の譲歩案として全く問題ないし、妥当と思われる。④家賃を他人に漏らさないという契約は問題ないが、漏らした場合当然に家賃が増額されるという条項は借主に不利な条項であり、無効とされる可能性がある。