FAQ 賃貸管理トラブル集

建物全戸を借りる場合の提出書類は各部屋に応じて用意すべきか

22戸ある建物につき、ある法人が全戸を借りうけることとなった。当該法人と賃貸借契約を締結する場合、当該法人の資格証明書(現在事項証明書)及び印鑑証明書を22通準備する必要はあるのか。
それぞれ1通あれば十分であり、法律的にも問題はない。

賃貸物件を売却する際に注意すべき事 (借主の属性)

賃貸物件の売却に係る問題。買主は、借主が暴力団関係者ではないかと疑念をもっており、調べたところ、明確にそのような事実はないが、やや粗暴な行動をする人物であることが判明した。このような事情を売買時に買主に情報提供しなけらばならないか。情報提供しない場合、後から責任が問われることはあるか。
買主が物件購入の決定に係る重要な事実として借主の属性を挙げており、業者として知り得た情報がある以上、宅建業法47条に基づき情報提供すべきである。その上で、買主の判断にゆだねることになる。この点が不十分な場合、宅建業法47条違反や、それに基づく民事上の責任があったとして、訴訟リスクを抱えることになるので注意が必要である。

抵当権設定された建物の賃貸借契約における注意 (説明義務違反による競売)

抵当権が設定されている建物の賃貸借契約の仲介をした後に当該建物が競売に付されて、第三者が競落した。この場合において、仲介業者が当該賃貸借建物の仲介の際に当該建物に抵当権が設定されていることを説明していなかった場合、当該業者は損害賠償責任を負うのか。
「当該(中略)建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人(以下略)」は重要事項の説明事項である。(業法35条)。したがって、賃貸借契約時に抵当権実行の現実的可能性があった場合、当該借主に損害が生じたときには、当該業者は損害賠償責任を負う事となる。

地方自治体の条例を確認せずに媒介したことによる損害の責任は

古い木造3階建ての物件(店舗)の賃貸を媒介したが、現在の条例のもとでは3階部分は店舗として利用できないとの指摘が行政からなされた。媒介に際して条例まで確認しておらず、当該制約につき重要事項説明をしていなかった。この場合、媒介の立場に法的責任は生じるのか。
宅建業法35条以外の事由でも、あらかじめ店舗として利用することを前提で賃貸借を媒介する際には、当該目的に利用することにつき法律上の制約の有無があるかどうかを条例レベルまで含めて調査し説明する義務があるとする判例がある。したがって、本件についても法的な責任は発生しうる可能性が高いといわざるを得ない。

貸主が風営法違反の容疑で逮捕された事実は重要事項説明・告知の必要はあるのか。

質問の事実は、宅建業法35条中には規定がなく、また賃貸借契約の目的たる建物に関する事項でもないことから、当該事実は説明・告知義務を負う事実はなく、借主から当該事実の有無に関心が示された場合以外は、借主に対し、重要事項説明・告知する必要はないと考える。

未成年契約における注意点

16歳の未成年を借主とする契約をすることになった。どのような点に気をつければよいか。
親権者(通常は両親)を代理人として契約すべきである。(親権者の同意を得る方法もあるが、それも書面で同意を得るべきであるから、代理人として契約する方が簡便である。)

借主が法人である場合に入居者の印鑑証明を受領しなくても問題ないか

建物賃貸借契約の借主が法人であり、当該法人の社員が社宅として居住する場合において、当該契約の締結に事務代行会社が係る場合がある。この場合において、当該事務代行会社から「事務手続きが煩雑なので、居住者の印鑑登録証明書は徴収しない扱いにしてほしい」との申し入れがあった。問題ないか。
当該賃貸借契約の契約者は借主たる法人であることから、居住者の印鑑登録証明書は法律上は必ずしも必要なものではない。そのため、あくまでも居住者の印鑑登録証明書を徴収するか否かは貸主の判断である。

アスベストを使用していたことが後日発覚した場合

建物賃貸借を締結するに当たり、当該建物につき、アスベストの調査をしていないので、「アスベストの調査はしていない」と重要事項説明書に記載した。しかし借主から、「駐車場の天井にアスベストのようなものが見て取れる」と言われて確認したところ、確かにアスベストのようなものが確認できた。そのため、借主と話し合い、賃料を月額5,000円下げて賃貸借契約を締結する事にした。現状、賃貸借契約についての重要事項には、上述のとおり、「アスベストの調査はしていない」との記載しかないが、この記載のみでよいか。
重要事項説明義務としては、「アスベストの調査はしていない」との記載で足りる。しかし、後々、「当該アスベストを原因として事故が起きた」として損害賠償請求等がなされた場合に備え、借主がアスベストの存在を認識していたことを明らかにしておくため、重要事項説明書に「貸主は、借主の指摘を受けて当該建物の駐車場の天井を確認したところ、アスベストのようなものを確認したことから、貸主と借主は、この賃貸借契約についての賃料を月額5,000円引き下げることに合意した」旨の内容の記載をしておいたほうがよい。

定期借家契約の解約に関して

以下の①~④の場合は貸主はどのような対応をすべきでしょうか。


①「通知期間」内に貸主が通知を怠った場合

②借主から賃料の値下げの要求があった場合、それを理由に6ケ月前の予告で
解約をすることが可能か。

③家具付きの定期借家契約をしていますが、解約時に家具を借主の負担で処分するを
義務つけることは可能か。

④宅地建物取引業者である貸主が直接借主と定期借家契約を結ぶ場合と、
宅地建物取引業者が媒介する場合の違いは。
①「通知期間」経過後であれば、通知をしたときから6ケ月を経過すれば終了します。

②特約で賃料増減請求権を排除していない限り、借主は賃料の値下げ請求する権利が
  ありますので、定期借家契約といってそれを排除することはできませんし、
それを正当事由として解約することはできません。

③解約時に家具を借主の負担で処分する契約は可能です。
  ただし、消費者に不利益な特約であるため、その合理的な理由と契約前に十分な説明
  及び借主の承諾が必須となります。

④宅地建物取引業者であっても貸主として貸す場合は宅地建物取引業法の適用は
  ないので、重要事項説明の義務はありませんが、定期借家契約としての
 事前説明義務はあります。(借地借家法第38条2項)
  媒介する場合は重要事項説明と定期借家契約である旨の重要事項説明義務が
  あります。