FAQ 賃貸管理トラブル集

老朽化した建物を賃貸している場合

築30年以上の一戸建て2戸の賃貸借契約の管理をしている。貸主は本件建物を7~8年前からレストランを営む会社に賃貸している。借主である会社は多額の日費用をかけて本件建物を改修し、古い民家のレトロな雰囲気での食事を売り物にして業績も好調のようである。しかし、本件建物は老朽化しており、素人が見ても耐震補強をしないと危険な建物である。どのように対処すべきか。
建物の所有者は工作責任を負うことから、本件建物の老朽化が原因で事故が起こった場合、本件建物の所有者件貸主は損害賠償責任を負う可能性がある。事故が発生した場合、本件建物の管理者であるものも善管注意義務に基づく損害賠償責任を負う場合があるといわざるを得ない。そこで、まず、早急に、本件建物の耐震診断をすべきである。そして、本件建物の改修ないし、建て替えが必要であるとの結果が出た場合は、本件建物の改修ないしは建て替えをしなければならない。しかし、借主にしてみれば、業績好調のレストランを改修の場合は一時的に閉店、建て替えの場合は閉店しなければならなくなることから、借主が本件建物の改修ないし建て替えを拒否することも予想される。この場合は、事故が起こった事に基づて発生した損害賠償責任の多くを借主の責に帰せしめることになる。とにかく、本件建物の所有者件貸主及び管理者としては、早急に、本件建物の耐震診断をして、その結果に基づき、補修ないし建て替えの判断をして、その判断結果を借主に示すことである。

漏水調査依頼 (1世帯のみの問い合わせ)

合計24戸、築20年のマンションン賃貸管理をしている。その中の1戸の借主から「6月の水道料金が4月の水道料金と比べて20%も上昇。その原因として漏水の可能性がある。調査をしてほしい」との連絡が入った。なお「水道料金があがった」と連絡してきた借主は、この1戸のみであり、その家族構成は4人である。
漏水の調査には多額の費用がかかる。そこでまず、「水道料金が上がった」との連絡があったのが1戸のみであることを説明して、もう少し様子を見てもらう事に理解を求める。それでも「漏水の可能性がある」との場合、多額の費用をかけて漏水の調査をするまえに、マンションの住民に説明をして全戸の水道を一斉に止めて調査する(全戸の水道を一斉にとめても水道資料が認められている場合は漏水の可能性が高い)。そして、漏水の可能性が高いとの結論に達した場合には専門業者に依頼する。

借地契約上、更新料を支払わないと契約更新できないか。

借地契約が更新されるかどうかは、地主側に正当理由があるかどうかが問題で、
更新料の支払いは問題ではない。更新料の規定は法律にもないので、借地人は支払いを拒否することもできる。
しかし、当初の契約書に、更新のつど更新料を支払うことが明記されておれば、
法外な金額や条件でない限り有効です。一般的には地価の3%~5%で多くても10%程度でしょう。

利用制限の緩和の要請への業者の対応

事業用ビルの仲介で、契約が成立し入居した借主から、物件につき利用制限があり、当初目的を達し得ないので、貸主に対し、利用制限をなくすよう対応するように要請された。どのように対応すべきか。

調査義務と説明義務

仲介業者としての調査義務及び説明義務が問題になり、当該利用制限につき、専門家としての注意義務に反する事になれば、責任を負うことになる。ただし、それは具体的には金銭賠償の問題であり、履行請求(契約の目的に従った利用を実現させるように請求する事)はできない。借主に事情を説明し、もし調査義務に反することがあれば、相応の責任を負担する事も考慮する必要がある。

契約代理

貸主の契約代理を請け負いつつ、媒介報酬を得ることは可能か?

両方で1ヶ月以上の報酬は得ることはできない。

契約代理をする以上、代理に基づく報酬権が発生し、それとは別に媒介報酬を得る根拠はない。媒介の立場で報酬を得つつ、代理の立場では、両方合わせて1ヶ月を超えて報酬を得ることはできません。

媒介契約を自動更新された。

中古住宅を探すため、不動産会社と媒介契約を結びましたが、いったん購入を見送ることになりました。ところが、媒介契約期間が終了したのに自動更新されてしまいました。

依頼者が更新を申し出ないのに、自動的に更新することはできません。

不動産会社に不動産の購入・売却の依頼を行う場合には、必ず媒介契約を結ぶことになっています。媒介契約については、国土交通大臣が告示している「標準媒介契約約款」(以下「標準約款」)に基づく契約である限り、自動更新はありません。契約期間は最長3ヶ月までで、契約の更新は依頼者の申し出によってのみ可能と定められています。このように、標準約款に基づく契約であれば、自動更新は認められませんから、明確に終了する旨の意思表示をすることが大切です。(標準約款については、不動産基礎知識「媒介契約書の確認事項及びチェックリスト」を参照)一方、媒介契約書に自動更新の規定が盛り込まれている場合には、「標準約款に基づく契約ではない」旨を契約書に記載する必要があります。改めて、媒介契約書の内容を確認してみましょう。そうした記載がないのに、自動更新の規定があるような場合や、標準約款に基づく契約であるのに、契約更新を主張する場合には、不動産会社を管轄する都道府県の部署(自治体によって担当部署名が異なります)の窓口に相談しましょう。(相談窓口については「住まいの相談窓口」を参照。)

地方自治体の条例を確認せずに媒介したことによる損害の責任は

古い木造3階建ての物件(店舗)の賃貸を媒介したが、現在の条例のもとでは3階部分は店舗として利用できないとの指摘が行政からなされた。媒介に際して条例まで確認しておらず、当該制約につき重要事項説明をしていなかった。この場合、媒介の立場に法的責任は生じるのか。
宅建業法35条以外の事由でも、あらかじめ店舗として利用することを前提で賃貸借を媒介する際には、当該目的に利用することにつき法律上の制約の有無があるかどうかを条例レベルまで含めて調査し説明する義務があるとする判例がある。したがって、本件についても法的な責任は発生しうる可能性が高いといわざるを得ない。

抵当権設定された建物の賃貸借契約における注意 (説明義務違反による競売)

抵当権が設定されている建物の賃貸借契約の仲介をした後に当該建物が競売に付されて、第三者が競落した。この場合において、仲介業者が当該賃貸借建物の仲介の際に当該建物に抵当権が設定されていることを説明していなかった場合、当該業者は損害賠償責任を負うのか。
「当該(中略)建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人(以下略)」は重要事項の説明事項である。(業法35条)。したがって、賃貸借契約時に抵当権実行の現実的可能性があった場合、当該借主に損害が生じたときには、当該業者は損害賠償責任を負う事となる。

賃貸物件を売却する際に注意すべき事 (借主の属性)

賃貸物件の売却に係る問題。買主は、借主が暴力団関係者ではないかと疑念をもっており、調べたところ、明確にそのような事実はないが、やや粗暴な行動をする人物であることが判明した。このような事情を売買時に買主に情報提供しなけらばならないか。情報提供しない場合、後から責任が問われることはあるか。
買主が物件購入の決定に係る重要な事実として借主の属性を挙げており、業者として知り得た情報がある以上、宅建業法47条に基づき情報提供すべきである。その上で、買主の判断にゆだねることになる。この点が不十分な場合、宅建業法47条違反や、それに基づく民事上の責任があったとして、訴訟リスクを抱えることになるので注意が必要である。