FAQ 賃貸管理トラブル集

利用制限の緩和の要請への業者の対応

事業用ビルの仲介で、契約が成立し入居した借主から、物件につき利用制限があり、当初目的を達し得ないので、貸主に対し、利用制限をなくすよう対応するように要請された。どのように対応すべきか。

調査義務と説明義務

仲介業者としての調査義務及び説明義務が問題になり、当該利用制限につき、専門家としての注意義務に反する事になれば、責任を負うことになる。ただし、それは具体的には金銭賠償の問題であり、履行請求(契約の目的に従った利用を実現させるように請求する事)はできない。借主に事情を説明し、もし調査義務に反することがあれば、相応の責任を負担する事も考慮する必要がある。

仲介業者としての調査結果による仲介責任

隣接物件の所有者(居住者)が玄関先に防犯カメラを設置しており、借り希望者からは、暴力団関係者ではないかと懸念が示されたので、管理会社等を通じて調査したところ、そうではないらしいと調査でた。借り希望者にそのことを伝えて仲介をけいぞくして問題ないのであろうか。

仲介業者としての可能な限りの調査が必要

暴力団関係者であるか否かにつき可能な限り調査をし、その結果を説明しさえすれば、仲介業者としての調査説明義務は尽くされており、あとは借り希望者の判断で契約するか否か決定する。借り希望者が、これらの事情を踏まえて契約するのであれば、念のためそのことも重要事項等で明記しておき、仲介を進めることは問題ないものと考えます。

貸地についての媒介手数料は

宅建業法の報酬規定により

土地賃貸借の媒介に付いても宅建業法の報酬規定が適用され、賃料(地代)の1ヶ月相当分が基本となる。なお、いわゆる権利金(権利金その他の名目を問わず、権利設定の対価として支払われる金銭で返還されないもの)の授受があった場合の報酬額については、賃借料の1ヶ月分にかえて、権利金を売買の場合の代金額とみなして算出した額を上限として報酬を受けることもできる。報酬規定参照のこと。

定期借家契約の再契約における業務の省略化は...

定期借家契約の再契約をする場合、改めて、事前説明、重要事項説明及び契約の締結をする必要はあるところ、この手続きを省略に近い形で簡略化することは認められるか。

現行の法制度では認めてないが

現行の法制度を前提とすると、当該手続きを省略に近い形で簡略化することは認めてない。ただし、重要事項説明の趣旨等からすれば、すでに内容を十分に把握している借主に、新規の場合と同等の対応をしなければならないとするのも形式論にすぎると考える。借主側の意向を十分に踏まえて、一定程度の簡略化することは、実質的に違法とはいえないのではないか。

賃貸部分と建物全体の登記に差異が生じた場合の説明義務は...

登記は2階建てとなっている建物の2階部分を賃貸。ただし、その後増改築されて4階建てとなっている。この場合、登記の状況を説明するだけで媒介としての説明義務を果たしているといえるのか。

趣旨としては

登記事項を説明するのは、所有者の特定(賃貸権限の有無の確認)と第三者が取得した場合の権利関係の明確化がその趣旨である。したがって、登記がある部分につき賃借する場合には、登記の状況を説明すれば足りると考える。ただし、登記と現況が異なること、したがって、3階以上の利用による一定の制約や有無や、場合によっては違法建築とされて行政庁から対応が求められていることがあることも、あわせて説明しておくべきである。