FAQ 賃貸管理トラブル集

土地を事業者に一括して貸す場合、所有者の工作物責任は

一次的には、占有者の責任が問われるケースが多いと考えられる。

借主死亡であるが賃料は振り込まれている、自力救済は可能か

建物賃貸借の借主が当該建物内で死亡した。警察から事件性はないと連絡があったが死後1ヶ月経っている。ところが、借主が亡くなってからも賃料が振り込まれており、どうも借主の兄が振り込んでいるようである。当該建物には悪臭がキツイ事から、貸主としては早々に当該建物の原状回復をしたいところであるが、現在の状況の中、貸主の原状回復をすることには法律上の問題を生じるか。
当該賃貸借契約は法定相続によって相続人に承継されていることから、まず、当該借主の相続人を探す必要がある。そして、その相続人に連絡して合意解約をして原状回復してもらう必要がある。(なお、今後、賃料不払いとなった場合は契約解除する。)なお現在の状況では原状回復することは自力救済禁止に触れて、原則として違反である。

外階段の老朽化(相場より安い賃料)

倉庫の賃貸で、1階と2階をつなぐ外階段が老朽化して事故の危険性がある。ただし、家賃は相場より格安になっている場合、借主に対し、修繕義務を全面的に負わせることは可能か。
修繕義務につき、特約で一定範囲を借主負担とさせることは有効であり、本件のように賃料が低廉であれば、より問題は少なくなる。ただし、当事者間での修繕負担という意味ではそれでよいかもしれないが、第三者に事故などが発生した場合の工作責任の観点からは、貸主負担でもよいから、早急に修繕しておくべきである。管理業者においては、最低限その旨を指摘し、しかるべき対応をとるように促しておく事が重要である。

クロスの張替えを請求できるか

建物賃貸借契約の借主が6年で退去した場合において、クロスの張替え費用を当該借主に対し請求することは出来るのか。
クロスの損傷等については借主に故意・過失等がない場合(経年劣化)には、特約がなけれればクロスの張替え費用を当該借主に対し請求することはできない。一方、借主に故意・過失がある場合には、クロスの張替え費用を当該借主に対し、請求することはできるが、ガイドラインによれば、請求できる金額は特約がないかぎり張替え費用の10%である。

本人との交渉が出来ない場合

借主の退去に当たって原状回復につきトラブルになっている。借主は行為能力を有する成人であるが、保証人である親が、代理人として交渉に出てきて、埒があかない。親の代理人資格を否定してなんとか本人を交渉に引っ張り出すことはできないか。
借主本人が行為能力を有する成人である以上、親といえども法定代理人ではない。ただし、任意の授権により任意代理人とすることはできる。当該交渉において、本人からの委任状の提示を求め、それがない場合には代理人であることを否定することは可能である。ただし、これも委任状1枚のことなので、改めて委任状を取ってくればそれを否定することはできない。裁判になれば、代理人は原則として弁護士等でなければならず、親も簡易裁判の手続きにおいて裁判所の特別の許可がなされたときしか代理人になれないので、どうしても本人との対応を検討するのであれば訴訟等での対応を検討すべきである。

原状回復において、タバコのヤニはどのように考えれているのか。契約上の特段の取り決めはない。

原状回復ガイドラインでは、通常のハウスクリーニングでは除去できないような汚れについては借主側の負担としているので、専門業者の意見を踏まえ、それがハウスクリーニングで除去できない場合には、特約がなくても借主の負担と考える事ができる。

通常損耗以上の劣化(フローリング)

建物に17年間居住した借主の使用状況がひどく、フローリングを全面張替えしなくてはならない状態である。貸主は借主に対し、フローリングの張替え費用を全額請求しても問題ないか。
建物に17年間居住した借主の使用状況がひどく、フローリングを全面張替えしなければならない状態であるならば、当該フローリングの損耗は通常損耗ではなく、特別損耗であるとも言えそうである。

臭いの除去費用の請求は

マンションの一部屋の借主が退去することになったが、部屋がにおう。この臭いを除去する費用を原状回復費用として敷金から差し引くことは認められるか。
当該臭いが通常の使用・収益でつく程度のものではなく、当該臭いを除去するために特別な業者に依頼する必要があるような場合には、当該臭いの除去費用は借主が負担すべき原状回復費用として敷金から控除することが出来る。

ペット飼育可能物件の原状回復範囲

ペット飼育可能として貸した物件につき、退去時に確認したところ、汚れや傷がひどく、その原状回復に40万円が必要となった。敷金から差し引き、足りない部分は借主に請求したところ、借主から、そもそもペット飼育可なのだから、それは通常損耗の範囲であるため、応じられない、敷金も全額返せと裁判を起こしてきた。どのように考えるべきか。
ペット可の物件でも、ペットがつけた傷や汚れがすべて無制限で通常損耗ということにはならない。ペットを飼育するに当たっては一定のルールがあり、そのルールを逸脱した部分は貸主の過失、善管注意義務違反の範疇に属し、その原状回復費用は、ガイドラインベースでも借主の負担となる。汚れや傷の程度、他の通常のペット飼育者における退去時の状況との比較などを裁判において証拠として提出し、上記主張をしていくことが考えられる。