FAQ 賃貸管理トラブル集

「入居後の修繕は大小に関係なく賃借人が行う」との規定に基づき借主に修繕費を請求できるのか。

裁判所は、「入居後の修繕は大小に関係なく賃借人が行う」旨の契約条項は、単に貸主が民法第606号第1項所定の修繕義務を負わないとの趣旨にすぎず、借主が家屋の使用中に生ずる一切の汚損、破損個所を自己の費用で修繕し、家屋を賃借当初と同一状態で維持すべき義務があるとの趣旨ではないと解するのが相当とし、貸主から借主に対する修繕費用の請求を退けました。

貸主が実施しようとする修繕を拒否した借主に対して賃貸借契約の解除を求めた

貸主が修繕を伴う保守点検の為に、借主に対して室内への立ち入りを承諾するように求めたが、借主が拒否し、修繕ができなかったことで、貸主が借主に対して賃貸借契約の解除を求めた事案です。
裁判所は、借主があくまで修繕、保守点検のための立ち入りに応じないならば、建物保存に必要な工事をすることができないとして、当該行為は借主の立入り認容義務違反に当たり、かつ、この義務違反によって賃貸借契約の目的を達することが出来ない場合に当たるとして、貸主は賃貸借契約を解除することができるとした。

アパートの階段から来訪者が転落事故...階段腐食による工作物責任は!

アパートの階段の踏み板等の溶接部分が全面溶接されておらず、腐食してはがれ、階段を上ってきた来訪者が転落して負傷したために貸主に対して損害賠償請求した事案です。
裁判所は、本件階段がこのような状態にあったことは、土地工作物の設置上の瑕疵に当たり、
所有者には工作物責任があるとして損害賠償請求を認めました。

賃貸マンションの居室から来訪者が転落…貸主の工作物責任は!

賃貸マンションで、居室の窓枠に手すりがなく、腰壁の高さが約40㎝しかない状況のもとで、来訪者がその窓から転落死したため、来訪者の親族が、建物所有者である貸主に対し損害賠償を請求した事案です。
裁判所は、この状況につき、建物の設置に瑕疵があるとして、所有者である貸主の工作責任を認めた。
ただし、転落した来訪者にも過失があるとして、過失相殺(7割)を認定した。

建物に瑕疵がある場合、損害が予測困難な自然力によるものでも、貸主に工作責任があるのか。

裁判所の判断
①本件豪雨による浸水事故は、占有者である借主が、排水口の塵芥を除去しておれば回避できた可能性を否定できず、占有者である借主に損害賠償責任があるとした。
②当該建物は、サンルームの構築により塵芥の完全な除去が容易でない状況となっており、このために本件事故による損害が増大していること、また、ベランダがタイル張りによって底上げされ、そのため、損害が増大したと認められ、貸主である所有者にも損害賠償責任があるとした。

自動更新の場合、更新期間は1年にしなければならないという制約はあるのか

自動更新後の契約条件については、当初契約において自由に定めることができ、1年にしなければならないなどの制約はない。

管理している賃貸物件が競売に、借主への説明は

抵当権に遅れる賃借権は、期間の長短を問わず競落人に対抗できない。したがって、借主に対し、競落されてから6ヶ月経過するまでの間に明渡しを余儀なくされること、敷金は今の所有者(貸主)から返還を求めることになることを説明することになる。

抵当権設定前に入居してる物件の競売における借主の立場

差し押さえ物件につき、抵当権設定よりも前から入居している借主は、競売が進んだ場合、どのような立場になるか。競落人から明渡し請求をされた場合、引越し費用等を請求できるか。
抵当権よりも前に入居している借主は、抵当権者に対抗できる。したがって、賃貸借契約は競落人に継承され、新貸主がその借主に明渡しを求めるには、契約を解約する必要がある。この場合、正当事由の立退き料の算定の中で、引越し費用等が勘案されることになる。

相続による所有者変更における契約書のまきなおし

平成15年9月から、契約期間2年の賃貸借契約をしていた。今般所有者が相続によって代わったので、新貸主から改めて契約書を作成してほしいと言われている。この場合に契約書を新たに作成する必要はあるか。また、契約期間はどのように設定すべきか。
相続による一般承継の場合、貸主の地位も従前の契約内容のまま引き継がれる。したがって、契約書を改めて作成しても、合意書を作成し、従前と同様のところは「添付の契約書の条項に従う」と定める方式でも、どちらでもかまわない。また、契約期間は、基本的に従前の期間を承継し、終期は平成21年8月末ということになるが、合意で新たに、合意時から2年間としてもかまわない。(借主に有利な変更であるので問題ない。)