FAQ 賃貸管理トラブル集

臭いの除去費用の請求は

マンションの一部屋の借主が退去することになったが、部屋がにおう。この臭いを除去する費用を原状回復費用として敷金から差し引くことは認められるか。
当該臭いが通常の使用・収益でつく程度のものではなく、当該臭いを除去するために特別な業者に依頼する必要があるような場合には、当該臭いの除去費用は借主が負担すべき原状回復費用として敷金から控除することが出来る。

貼られた飾りシールの剥がし代を請求できるか

建物賃貸借契約の借主が風呂釜に飾りシールを貼った。今般、その借主が当該建物から退去することになったことから当該シールを剥がそうとしたところ剥がれず、専門業者に依頼しても「当該シールを剥がすことはできない」といわれてしまった。原状回復費用として、どの程度の請求をしたらよいか。
本件について明確な基準はない。当該シールが貼られていることによって当該風呂釜ひいては当該建物の価値がどれほど低減したかが基本的な考え方である。

ペット飼育可能物件の原状回復範囲

ペット飼育可能として貸した物件につき、退去時に確認したところ、汚れや傷がひどく、その原状回復に40万円が必要となった。敷金から差し引き、足りない部分は借主に請求したところ、借主から、そもそもペット飼育可なのだから、それは通常損耗の範囲であるため、応じられない、敷金も全額返せと裁判を起こしてきた。どのように考えるべきか。
ペット可の物件でも、ペットがつけた傷や汚れがすべて無制限で通常損耗ということにはならない。ペットを飼育するに当たっては一定のルールがあり、そのルールを逸脱した部分は貸主の過失、善管注意義務違反の範疇に属し、その原状回復費用は、ガイドラインベースでも借主の負担となる。汚れや傷の程度、他の通常のペット飼育者における退去時の状況との比較などを裁判において証拠として提出し、上記主張をしていくことが考えられる。

原状回復において、タバコのヤニはどのように考えれているのか。契約上の特段の取り決めはない。

原状回復ガイドラインでは、通常のハウスクリーニングでは除去できないような汚れについては借主側の負担としているので、専門業者の意見を踏まえ、それがハウスクリーニングで除去できない場合には、特約がなくても借主の負担と考える事ができる。

共用部分に敷いてある玄関マットについても原状回復の対象となるのか。

共用部分であっても借主が独占的に使用する部分については、賃貸の目的物に含まれると解され、退去時の原状回復義務の対象となる。

通常損耗以上の劣化(フローリング)

建物に17年間居住した借主の使用状況がひどく、フローリングを全面張替えしなくてはならない状態である。貸主は借主に対し、フローリングの張替え費用を全額請求しても問題ないか。
建物に17年間居住した借主の使用状況がひどく、フローリングを全面張替えしなければならない状態であるならば、当該フローリングの損耗は通常損耗ではなく、特別損耗であるとも言えそうである。

クロスの張替えを請求できるか

建物賃貸借契約の借主が6年で退去した場合において、クロスの張替え費用を当該借主に対し請求することは出来るのか。
クロスの損傷等については借主に故意・過失等がない場合(経年劣化)には、特約がなけれればクロスの張替え費用を当該借主に対し請求することはできない。一方、借主に故意・過失がある場合には、クロスの張替え費用を当該借主に対し、請求することはできるが、ガイドラインによれば、請求できる金額は特約がないかぎり張替え費用の10%である。

残存価値10%以上の請求は可能か

特約がない場合、どんなに借主の使い方が悪くて室内の汚損等が激しい場合でも、居住後10年の物件では、残存価値が10%と評価され、それ以上の金銭補償は請求できないのか
借主の利用状況があまりにひどい場合には、借主側の債務不履行に基づく損害賠償請求として、残存価値分の補填とあわせ、一定の損害賠償請求も可能な場合があると考えられる。

本人との交渉が出来ない場合

借主の退去に当たって原状回復につきトラブルになっている。借主は行為能力を有する成人であるが、保証人である親が、代理人として交渉に出てきて、埒があかない。親の代理人資格を否定してなんとか本人を交渉に引っ張り出すことはできないか。
借主本人が行為能力を有する成人である以上、親といえども法定代理人ではない。ただし、任意の授権により任意代理人とすることはできる。当該交渉において、本人からの委任状の提示を求め、それがない場合には代理人であることを否定することは可能である。ただし、これも委任状1枚のことなので、改めて委任状を取ってくればそれを否定することはできない。裁判になれば、代理人は原則として弁護士等でなければならず、親も簡易裁判の手続きにおいて裁判所の特別の許可がなされたときしか代理人になれないので、どうしても本人との対応を検討するのであれば訴訟等での対応を検討すべきである。