FAQ 賃貸管理トラブル集

見込み収入の上での入居申し込みの際の留意点

借主予定者から、「現在は無職であるが、自治体の家賃補助が半年でる。その間に仕事を見つける」として建物賃貸借契約締結の申込があった場合において、注意すべき事は何か。

滞納リスクが高い

自治体の家賃補助がある期間を経過しても借主が職を得ていなかった場合、その後、当該借主は賃料を滞納する可能性が高い。この場合、当該借主が任意に当該建物を明渡さない場合、貸主は労力・時間及び費用をかけて法的手続きを取る必要が生じる。したがって、質問のような申し入れがあった場合、貸主に対し、上記「自治体の家賃補助がある期間を経過しても借主が職を得なかった場合」のリスクを考えるべきである。

社宅使用目的の法人契約の場合、消費者保護法は適用されるのか。

消費者契約法は個人が借主の住宅賃貸借に適用される。したがって、借主が法人である以上、消費者契約法は適用されない。

建物賃貸借契約に違約金条項を入れることは可能か

契約締結の事由の原則の下、可能である。ただし、違約金の額によっては借主が消費者契約法上の消費者である場合、消費者保護法第9条等によって無効と判断される場合がある。また借主が消費者契約法上の消費者では無い場合においても、公序良俗等によって無効と判断される場合がある。

賃料と共益費とが別建てで記載しなければならないのか。賃料○○円(共益費込)とは出来ないか。

賃料○○円(共益費込)とすることも否定されないが、もともと賃料(物件の利用の対価)と共益費(共用部分の維持管理費)とは性格が異なること、それぞれ別な要因で増減が検討されうることからすれば、別建てで表示するとともに、その性格付け等を契約書本条で明記しておくことが望ましいと考える。

共益費の内訳を開示する法律上の義務はあるのか

そのような法律上の義務はない。

内容証明郵便による家賃督促の場合、管理業者名義で行うことは弁護士法違反なのか

内容証明郵便による請求は法的な意味を有する請求であり、法律事務に当たるのですべて弁護士法に触れるという見解もある。しかし、内容証明郵便自体には執行力などはなく、あくまでも通知の事実の証明にとどまること、請求の履行を促すのは事実上の効果にすぎないことに鑑みれば、単に滞納の事実を告げ契約に従い支払うよう求める書面でれば、実質的に弁護士法違反とはいえないと考える。一方、借主側が支払を拒否したり、他に法的論理を含む場合には、弁護士法との関係が問題になるので、貸主本人名義で対応するように考える。

周辺利用による貸主の責任

1階事務所を賃貸したところ、借主から公道部分にのぼりを掲げたいとの相談があった。(以前の物件でも同様にしており問題なかった。)応じた場合、賃貸借契約上貸主にリスクはないか。
路占用許可の有無等当局との対応や、万が一のぼり等を原因とする第三者に対する事故が発生した場合の不法行為責任につき、所有者にも何らかの関係が生じてくることが想定される。したがって、公道の使用を前提とする要請は基本的に拒否すべきです。

貸主の承諾を得た同居人にある物件への権限は

店舗の賃貸借で、借主から、知り合いの会社の同居を求められ、貸主はそれを承諾した。この場合、借主が退去しても、同居人の当該物件の利用権限は存続することにならないか
賃借権の譲渡や転貸と違って、同居人の追加承諾であれば、同居人は独立した占有権限を有するわけではなく、あくまでも借主自身の賃借権の上に乗っかってるだけの付随的立場に過ぎないため、借主との間の契約が終了した場合には、同居人の利用権限も当然に無くなる(法令上唯一の例外として、居住用の物件で、同居人が事実上の夫婦ないし養子関係にある場合、その者が賃借権を承継できるとされている。借地借家法36条)したがって、実務上は、当該承諾が、あくまでも同居人の追加に係る承諾であり、借主との契約関係が終了すれば当然に同居人の利用権限も消滅することを確認しておくことが望ましい。

金融機関の主張を阻止して任意売却は可能か。

ローンが支払えなくなったため、金融機関から抵当権の実行の通知が来た。オーナーとしては任意売却の方が高く売れるということで、競売は待ってくれと述べているが、金融機関側は抵当権実行をあくまで主張している。抵当権の実行を阻止して任意売却することは可能か。
抵当権消滅請求制度(民法383条)は、債務者本人は使えない為、質問のようなオーナー側の主張は法的には認められない。ただし、実際の買い付け価格等を示す事が出来、その額と競売における最近の競落価格等を比較できるような資料があれば、金融機関の担当者も対応を変える可能性もある。任意売却での買い付けに実際に応じてくれる業者を探す事が先決である。