FAQ 賃貸管理トラブル集

自殺による損害賠償の請求

6年以上居住していた借主がユニットバスの中で練炭自殺をした。貸主は、当該借主の相談人に対し、①風呂釜の交換費用、②お祓い費用、③フローリングの補修費用、④その他の損害賠償の請求をすることはできるか。
①については、請求できたとしても交換費用の1割程度と思われる。②については法律的には、ユニットバスにおける自殺とお祓い費用との間に因果関係が認められることは困難であろう。③については「ユニットバスの中での練炭自殺」とフローリングの補修に関連性が認められるか疑問であることから著しく困難であると思われる。④については、賃料を低減せざるを得ない事についての損害請求することが出来る場合がある。

シロアリ被害の責任

シロアリにより建物の基礎部分の被害が発生した。借主が窓を開放し続けることから侵入し繁殖したとも考えられる。この場合、補修費用等は誰が負担すべきか。
シロアリ被害の原因が100%借主の不注意によるものと立証できる場合には借主の負担となるが、その立証は困難である。まどの開閉についても、住居として使用する以上、窓の開閉があることは通常の使用方法であり、直ちに過失と認められるわけではない。したがって、建物の主要構造部分であることも考えれば基本的には貸主が負担する事とし、借主側に何らかの落ち度があれば応分の負担を求めるという形で協議していくべきではないかと考える。

高低差のある隣地より雨水が入り込んだことによる損害

A所有の甲土地に甲建物が建っており、その隣地にB所有の乙土地に乙建物が建っている。なお、甲土地と乙土地は、甲土地の方が約30㎝高くなっている。今般、BからAに対し、「甲土地から乙土地に大量の雨水が流れてきており、乙土地の地盤が緩んでしまっている。場合によっては、今後、乙建物が倒壊する危険性すらある。甲土地から乙土地に雨が流れないような工事をしてほしい、なお、今後、乙建物が倒壊した場合、損害賠償責任を請求する。」との話があった。本件において、AがBに対し損害賠償責任を負う可能性はあるか。
将来、乙建物が倒壊し、その原因が「甲土地から乙土地に大量の雨水が流れたがために乙土地の地盤が緩んだこと」にあり、Bがその立証出来た場合は、本件に於いてAがBに対し損害賠償責任を負う可能性もある。ただし、実際上は、その立証は困難であると考えられる。

駐車場をコンテナボックスの置場として賃貸する場合

ガレージを2台分同一人物に賃貸することを検討しているところ、借主予定者は、1台分は駐車場として使用する予定であるが、もう1台分はコンテナボックスを置きたいとの話をしている。この場合においての注意点は
ガレージを含む駐車場は賃料が高くない一方で、賃料が未払いとなって車が放置された場合の貸主のデメリットが大きい。仮に、借主が賃料を未払いとしてコンテナボックスを放置した場合には、その撤去費用は実質的に貸主が負担する可能性が高い点に注意。

礼金を取る事は、消費者契約法で問題とならないか。

礼金については、消費者契約法上無効ではないという地裁レベルの判決がある。ただし、いずれにしてもどのような性質の金銭なのか、その性質に見合った合理的金額なのか、契約時に十分に情報提供されたのかが問題となるので、それらの点を精査したうえで取り扱いを検討する事が望ましい。

借主に対する差押通知書等が貸主に届いた場合の対応

建物賃貸借の貸主に対し税務署から借主の滞納税金を被保全債権とする敷金返還請求権の差押通知書、質問書及び回答書面のような書面が来たが、どのように対応したらよいか。
貸主は税務署に対し回答書面を必要要請を記載した上で返送すべきである。なお、借主に貸主に対する債務がある場合、貸主は敷金から当該借主の貸主に対する債務を、当該差押えに係る滞納税金に優先して控除することができる。

水道の個別メーターがない場合における負担額の請求

1棟の古い建物の各部屋に異なる借主が入居しているが水道光熱費についての計測メーターが各部屋個別に設置されておらず1棟の建物全体についてのみ水道光熱費についての計測メーターが設置されている場合において、貸主が借主に対し水道光熱費を各借主の賃借面積に従って割合的に請求することに合理性はあるか。
水道光熱費は、使用料に応じて負担することが原則である。
しかし、本件の場合は建物が古いこともあって使用した割合に応じて請求することが困難であることから、貸主が借主に対し水道光熱費を各借主の賃借面積に従って割合的に請求することに合理性はあると思われる。

賃料不払いの借主に対する明渡し請求

賃料不払いに基づき、借主との賃貸借契約を解除し、建物明渡しを求める訴訟を提起する。(なお必要に応じ、占有移転禁止の仮処分を申し立てる。)

借主の行方不明の場合の契約終了への手続き

借主は長期不在。連帯保証人である親からも捜索願いが出されている。この場合、契約の終了等をどのように進めていけばよいか。なお、借主は常習滞納者で現在も2ヶ月の賃料滞納がある。
契約解除の要件はあると考えれらるため、正規ルートとしては、解除明渡し訴訟を提起して判決を求め、強制執行することになる。ただし、この場合は連帯保証人である親の事実上協力を得て、中のものの引取り等をお願いする方法も、借主がまったく連絡取れず滞納賃料が累積していかざるを得ない事情のもとでは、自力救済の限界事例として考慮の余地もあるかと考える。