FAQ 賃貸管理トラブル集

内容証明郵便による家賃督促の場合、管理業者名義で行うことは弁護士法違反なのか

内容証明郵便による請求は法的な意味を有する請求であり、法律事務に当たるのですべて弁護士法に触れるという見解もある。しかし、内容証明郵便自体には執行力などはなく、あくまでも通知の事実の証明にとどまること、請求の履行を促すのは事実上の効果にすぎないことに鑑みれば、単に滞納の事実を告げ契約に従い支払うよう求める書面でれば、実質的に弁護士法違反とはいえないと考える。一方、借主側が支払を拒否したり、他に法的論理を含む場合には、弁護士法との関係が問題になるので、貸主本人名義で対応するように考える。

周辺利用による貸主の責任

1階事務所を賃貸したところ、借主から公道部分にのぼりを掲げたいとの相談があった。(以前の物件でも同様にしており問題なかった。)応じた場合、賃貸借契約上貸主にリスクはないか。
路占用許可の有無等当局との対応や、万が一のぼり等を原因とする第三者に対する事故が発生した場合の不法行為責任につき、所有者にも何らかの関係が生じてくることが想定される。したがって、公道の使用を前提とする要請は基本的に拒否すべきです。

貸主の承諾を得た同居人にある物件への権限は

店舗の賃貸借で、借主から、知り合いの会社の同居を求められ、貸主はそれを承諾した。この場合、借主が退去しても、同居人の当該物件の利用権限は存続することにならないか
賃借権の譲渡や転貸と違って、同居人の追加承諾であれば、同居人は独立した占有権限を有するわけではなく、あくまでも借主自身の賃借権の上に乗っかってるだけの付随的立場に過ぎないため、借主との間の契約が終了した場合には、同居人の利用権限も当然に無くなる(法令上唯一の例外として、居住用の物件で、同居人が事実上の夫婦ないし養子関係にある場合、その者が賃借権を承継できるとされている。借地借家法36条)したがって、実務上は、当該承諾が、あくまでも同居人の追加に係る承諾であり、借主との契約関係が終了すれば当然に同居人の利用権限も消滅することを確認しておくことが望ましい。

金融機関の主張を阻止して任意売却は可能か。

ローンが支払えなくなったため、金融機関から抵当権の実行の通知が来た。オーナーとしては任意売却の方が高く売れるということで、競売は待ってくれと述べているが、金融機関側は抵当権実行をあくまで主張している。抵当権の実行を阻止して任意売却することは可能か。
抵当権消滅請求制度(民法383条)は、債務者本人は使えない為、質問のようなオーナー側の主張は法的には認められない。ただし、実際の買い付け価格等を示す事が出来、その額と競売における最近の競落価格等を比較できるような資料があれば、金融機関の担当者も対応を変える可能性もある。任意売却での買い付けに実際に応じてくれる業者を探す事が先決である。

無断転貸による解除は可能か。

賃貸物件でオーナーに相続が発生した。テナントが5件あるが、うち1件は転貸となっており、テナントは被相続人から口頭で承諾を得ているとしている。しかし、相続人は証拠がないため無断転貸であり、契約を解除したいとしている。どのように考えるべきか。
転貸の承諾の有無は、言った言わないの世界であり、最終的にはテナント側が「承諾があった」ことを証人等を通じて証明できるかが問題となる。ただし、例えば転貸の時期がかなり以前であり、被相続人もその事実を認識し得たこと、にもかかわらず何も是正等を求めていなかった事、賃料は転借人か直接支払っていたことなどの事情があれば、それは転貸を承諾していた(少なくとも黙示の承諾があった)と評価される材料となるので、それらの店の経緯をまずはしっかりと確認し、整理しておくことが大切である。

ペット飼育不可物件から飼育可能物件への変更は法律上可能か。

ペット飼育不可物件での契約をした場合、契約内容の変更の問題が生じる。ペット飼育不可物件であることの約定をした借主とペット飼育不可物件をペット飼育可能物件に変更することの同意を得る事ができるなら問題はない。なお、仮に、建物全体がペット飼育不可物件であることを条件にして借主を募集していた場合、当該物件のすべての借主の同意を要する。

次の募集に限りペット飼育可能にする場合の契約内容は

今までペット不可の物件で、空室が長かったものにつき、今回ペット可能にしてもらえば借りたいという希望者が現れた。貸主も、今回の借主についてのみペット可能で貸してもよいとしているが、従前の契約とで異なる内容を決める必要はあるのか。
ペット可能になると、物件の傷み具合や近隣との関係で従前とは異なる状況になりうるので、原状回復や使用ルール、近隣迷惑行為の内容等について明確に定め、かつ、原状回復費用も多額になることが予想されるので敷金等を多めに設定することなどを検討する必要がある。

普通借家契約期間

借主は、契約期間を3年としたいとしているが、高齢のため、貸主は契約期間1年の普通借家契約でと考えている。合意がなされれば、契約期間1年という定めは可能なのか。
普通借家契約は、契約期間の最短は1年であるので、1年の契約期間を定めることは問題ない。ただし、借主側の要望と期間1年という更新前提の場合とで借主側の負担が異なる場合(例えば更新料の扱い)には、十分な説明と合意がないと、消費者契約法上の問題とされかねないので注意が必要である。

借主の自己破産開始手続きの通知が届いた場合

事業用建物賃貸借契約を締結している借主(法人)の代理弁護士名義で借主が自己破産開始手続きの申し立てをすることになったとの通知が届いた。貸主はいかなる措置を講じるべきか。
早々に当該弁護士に連絡して、賃貸借契約の合意解約をし当該建物の原状回復をしてほしい旨の話をして、早期対処を求めるべきである。なお、破産手続開始決定前の未払い賃料については破産債権、破産手続き開始決定後明渡しまでの賃料及び賃料相当使用損害金については財団債権となる。