FAQ 賃貸管理トラブル集

無断転貸による解除は可能か。

賃貸物件でオーナーに相続が発生した。テナントが5件あるが、うち1件は転貸となっており、テナントは被相続人から口頭で承諾を得ているとしている。しかし、相続人は証拠がないため無断転貸であり、契約を解除したいとしている。どのように考えるべきか。
転貸の承諾の有無は、言った言わないの世界であり、最終的にはテナント側が「承諾があった」ことを証人等を通じて証明できるかが問題となる。ただし、例えば転貸の時期がかなり以前であり、被相続人もその事実を認識し得たこと、にもかかわらず何も是正等を求めていなかった事、賃料は転借人か直接支払っていたことなどの事情があれば、それは転貸を承諾していた(少なくとも黙示の承諾があった)と評価される材料となるので、それらの店の経緯をまずはしっかりと確認し、整理しておくことが大切である。

ペット飼育不可物件から飼育可能物件への変更は法律上可能か。

ペット飼育不可物件での契約をした場合、契約内容の変更の問題が生じる。ペット飼育不可物件であることの約定をした借主とペット飼育不可物件をペット飼育可能物件に変更することの同意を得る事ができるなら問題はない。なお、仮に、建物全体がペット飼育不可物件であることを条件にして借主を募集していた場合、当該物件のすべての借主の同意を要する。

次の募集に限りペット飼育可能にする場合の契約内容は

今までペット不可の物件で、空室が長かったものにつき、今回ペット可能にしてもらえば借りたいという希望者が現れた。貸主も、今回の借主についてのみペット可能で貸してもよいとしているが、従前の契約とで異なる内容を決める必要はあるのか。
ペット可能になると、物件の傷み具合や近隣との関係で従前とは異なる状況になりうるので、原状回復や使用ルール、近隣迷惑行為の内容等について明確に定め、かつ、原状回復費用も多額になることが予想されるので敷金等を多めに設定することなどを検討する必要がある。

普通借家契約期間

借主は、契約期間を3年としたいとしているが、高齢のため、貸主は契約期間1年の普通借家契約でと考えている。合意がなされれば、契約期間1年という定めは可能なのか。
普通借家契約は、契約期間の最短は1年であるので、1年の契約期間を定めることは問題ない。ただし、借主側の要望と期間1年という更新前提の場合とで借主側の負担が異なる場合(例えば更新料の扱い)には、十分な説明と合意がないと、消費者契約法上の問題とされかねないので注意が必要である。

借主の自己破産開始手続きの通知が届いた場合

事業用建物賃貸借契約を締結している借主(法人)の代理弁護士名義で借主が自己破産開始手続きの申し立てをすることになったとの通知が届いた。貸主はいかなる措置を講じるべきか。
早々に当該弁護士に連絡して、賃貸借契約の合意解約をし当該建物の原状回復をしてほしい旨の話をして、早期対処を求めるべきである。なお、破産手続開始決定前の未払い賃料については破産債権、破産手続き開始決定後明渡しまでの賃料及び賃料相当使用損害金については財団債権となる。

区分所有建物の賃貸における借主の共益費のトラブル

分譲貸しマンションで、借主が共用部分の管理は管理組合が行い、それに相当する部分は家賃の中に含まれているはずだから、共益費は支払う必要がないと主張している。どのように考えるべきか。
分譲マンションにおいて共用部分の清掃や維持管理は管理組合が行うが、当該費用は区分所有者が支払う管理費で賄われる。しかし、管理費は管理組合の運営等の様々な経費に使われていること、共用分の維持管理により実際に利益を受けるのは借主であり、実質的には通常の賃貸における共益費と評価する部分もあることから、それを家賃と別枠で設定する事は不合理ではないものと考える。要は家賃と共益費の構成要素を借主に説明し十分認識してもらう事が大切である。

室内で病死後2ヶ月は金銭給付を請求できるのか

借主が病死し、死後2ヶ月くらいで発見された。自殺ではないし、すでに20年住んでいて、原状回復費用としては既に消却済で価値はほとんどない。この場合、親族に対して、一定の金銭給付を請求できるのか。
心理的瑕疵の問題は、自殺だから認められて、病死であれば認められないという紋切り型ではなく、その事情が次の借主にとって心理的に嫌悪感を生じさせるものであるかどうかの具体的な事情の有無で判断される。病死であっても死後一定の期間後に発見された場合については、状況により原状回復等工事の遅れ、空室期間の長期化などの特段の事情がある場合には、当該空室期間の補填的な意味合いで、金銭給付を請求する事も可能であろう。

自殺による損害賠償の請求

6年以上居住していた借主がユニットバスの中で練炭自殺をした。貸主は、当該借主の相談人に対し、①風呂釜の交換費用、②お祓い費用、③フローリングの補修費用、④その他の損害賠償の請求をすることはできるか。
①については、請求できたとしても交換費用の1割程度と思われる。②については法律的には、ユニットバスにおける自殺とお祓い費用との間に因果関係が認められることは困難であろう。③については「ユニットバスの中での練炭自殺」とフローリングの補修に関連性が認められるか疑問であることから著しく困難であると思われる。④については、賃料を低減せざるを得ない事についての損害請求することが出来る場合がある。

シロアリ被害の責任

シロアリにより建物の基礎部分の被害が発生した。借主が窓を開放し続けることから侵入し繁殖したとも考えられる。この場合、補修費用等は誰が負担すべきか。
シロアリ被害の原因が100%借主の不注意によるものと立証できる場合には借主の負担となるが、その立証は困難である。まどの開閉についても、住居として使用する以上、窓の開閉があることは通常の使用方法であり、直ちに過失と認められるわけではない。したがって、建物の主要構造部分であることも考えれば基本的には貸主が負担する事とし、借主側に何らかの落ち度があれば応分の負担を求めるという形で協議していくべきではないかと考える。