FAQ 賃貸管理トラブル集

在学期間のみの留学生を受け入れる

某大学の教授から「一時期のみ、私が借主、私が勤務する大学の短期留学生2名を入居者とする賃貸借契約を結んでほしい」との話があった。どのような方式で締結したらよいか。

2種類の契約方式

この場合、①一時使用賃貸借契約、もしくは②定期借家契約の方式で契約をすることが考えられるが、一時使用賃貸借契約の場合、「一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らか」か否かについての争いが生じる事があることから、定期借家契約の方式で締結すべきではないか。

普通借家契約期間

借主は、契約期間を3年としたいとしているが、高齢のため、貸主は契約期間1年の普通借家契約でと考えている。合意がなされれば、契約期間1年という定めは可能なのか。
普通借家契約は、契約期間の最短は1年であるので、1年の契約期間を定めることは問題ない。ただし、借主側の要望と期間1年という更新前提の場合とで借主側の負担が異なる場合(例えば更新料の扱い)には、十分な説明と合意がないと、消費者契約法上の問題とされかねないので注意が必要である。

一定期間の賃借は一時使用賃貸借契約でよいのか

自己所有の建物を建て替える期間だけ他の建物を借りたいという人がいる場合の契約形態としては、一時使用賃貸借契約でよいのか。

よりベターなのは

一時使用契約でも問題はないが、将来的に、真に一時使用の目的であったかどうかの紛争が起きる可能性を否定できない。そのため、建物を建て替える期間がある程度決まっているので、定期借家契約にしたほうがベターであるともいえる。

内容証明郵便による家賃督促の場合、管理業者名義で行うことは弁護士法違反なのか

内容証明郵便による請求は法的な意味を有する請求であり、法律事務に当たるのですべて弁護士法に触れるという見解もある。しかし、内容証明郵便自体には執行力などはなく、あくまでも通知の事実の証明にとどまること、請求の履行を促すのは事実上の効果にすぎないことに鑑みれば、単に滞納の事実を告げ契約に従い支払うよう求める書面でれば、実質的に弁護士法違反とはいえないと考える。一方、借主側が支払を拒否したり、他に法的論理を含む場合には、弁護士法との関係が問題になるので、貸主本人名義で対応するように考える。

見込み収入の上での入居申し込みの際の留意点

借主予定者から、「現在は無職であるが、自治体の家賃補助が半年でる。その間に仕事を見つける」として建物賃貸借契約締結の申込があった場合において、注意すべき事は何か。

滞納リスクが高い

自治体の家賃補助がある期間を経過しても借主が職を得ていなかった場合、その後、当該借主は賃料を滞納する可能性が高い。この場合、当該借主が任意に当該建物を明渡さない場合、貸主は労力・時間及び費用をかけて法的手続きを取る必要が生じる。したがって、質問のような申し入れがあった場合、貸主に対し、上記「自治体の家賃補助がある期間を経過しても借主が職を得なかった場合」のリスクを考えるべきである。

次の募集に限りペット飼育可能にする場合の契約内容は

今までペット不可の物件で、空室が長かったものにつき、今回ペット可能にしてもらえば借りたいという希望者が現れた。貸主も、今回の借主についてのみペット可能で貸してもよいとしているが、従前の契約とで異なる内容を決める必要はあるのか。
ペット可能になると、物件の傷み具合や近隣との関係で従前とは異なる状況になりうるので、原状回復や使用ルール、近隣迷惑行為の内容等について明確に定め、かつ、原状回復費用も多額になることが予想されるので敷金等を多めに設定することなどを検討する必要がある。

礼金を取る事は、消費者契約法で問題とならないか。

礼金については、消費者契約法上無効ではないという地裁レベルの判決がある。ただし、いずれにしてもどのような性質の金銭なのか、その性質に見合った合理的金額なのか、契約時に十分に情報提供されたのかが問題となるので、それらの点を精査したうえで取り扱いを検討する事が望ましい。

賃料と共益費とが別建てで記載しなければならないのか。賃料○○円(共益費込)とは出来ないか。

賃料○○円(共益費込)とすることも否定されないが、もともと賃料(物件の利用の対価)と共益費(共用部分の維持管理費)とは性格が異なること、それぞれ別な要因で増減が検討されうることからすれば、別建てで表示するとともに、その性格付け等を契約書本条で明記しておくことが望ましいと考える。

転貸借と他人物賃貸の使用貸借

転貸借と他人物賃貸の違いはどこにあるのか。
建物所有者と貸主の関係に相違がある。転貸借の場合、所有者と貸主の間には原賃貸借契約が存在するが、他人物賃貸は、そのような関係が存在しない。したがって、他人物賃貸の場合には、債権関係としては有効であるが、そのままでは権限なき賃貸借となり権利関係が不安定となるため、貸主が所有権を取得するか、原賃貸借契約を結ぶことが必要となってくる。