FAQ 賃貸管理トラブル集

火災報知器の設置で借主の協力を得れない場合の責任は

住宅用火災報知器につき、貸主負担で設置をすべく、借主に立入りと工事実施の承諾を得ようと連絡を何度も試みているが一向に回答がない。この場合でも、万が一火災が生じたときは、貸主や管理業者の責任が生じるのか。
貸主の債務不履行責任や管理会社の責任については、しかるべき対応をとったにもかかわらず借主側が対応しなかったという点から過失はないものと考えられ、特段の理由がない限り当該責任を負うことはないと考えれる。また貸主には建物所有者としての工作物責任(無過失責任)があるが、占有者に火災報知器が未設置という瑕疵の除去に協力しなかった過失があるとされれば、まずは占有者の責任が問われることになり、貸主まで責任が及ぶ事はないと考えられる。いずれにしても、貸主側で、なすべきことをしたにもかかわらず、借主側が応じずに未設置となっている経緯を記録に残しておくことが大切である。

ネズミが出た場合

建物にネズミが出現するとの情報が入ったので、ネズミの生息状況の調査をすることとなった。その調査費用は貸主と借主のどちらの負担か。
貸主は借主に対して、賃貸借契約の目的物を使用収益させる義務があるところ、その目的物たる建物にネズミが生息していては、貸主は上記義務を果たしていないということになるといえる。また、ネズミが生息していれば建物が毀損することが心配であるし、ネズミの生息の調査は建物全体に及び、借主の専用部分のみで調査が終わると思われない。したがって、ネズミの生息状況の調査費用は貸主負担となるものと思われる。

損害賠償の合意の書面の内容は

区分所有建物2階部分から漏水事故が発生し、1階テナントに被害が生じた。被害に係る損害賠償の分担につき、協議が整ったので書面にしておきたい。どのような内容にすべきか。
2階専用部分所有者、1階専用部分所有者及びテナントの3者で、事故の状況、損害の負担の方法を確認し、かつ精算条項(これ以外に本件につき何ら債権債務がないことを確認する。)を入れて合意書を作成する。公正証書にしておくことも有益である。

貸主が応ずべき修繕

建物の借主から、「風呂の排水状態が悪いから直してほしい」「風呂のドアが閉まらないから直してほしい」「シャワーの管から水漏れがするから直してほしい」等の申し入れを頻繁にうける。貸主は、このような借主の申し入れにすべて応じなければならないか。
賃貸借には「畳表の取り換え・裏返し・ヒューズの取り換え・障子紙の張り替え・給水栓の取り換え・ふすま紙の張り替え・排水栓の取り換え・電球・蛍光灯の取り換え・その他費用が軽微な修繕は借主の負担とする。」との約定があることが多い(賃貸住宅標準契約書第8条参照)したがって、貸主は、上記借主の申し入れにすべて応じなけらばならないわけではなく、契約内容に応じてそれぞれが対応することが求められる。

区分所有建物の賃貸で、換気扇及び外部排気口の掃除につき、誰が行うべきか。

その部分が共用部分であれば原則として、管理組合の管理に属するが、規約上区分所有者等の清掃管理の範疇としての取り決めがあることも多いので規約を確認する。その上で、区分所有者等の管理に属する事となれば、今度は貸主か借主化の問題となる。清掃は、修繕とは異なり、法令上どちらかの義務とは明記されていない為、明確な基準はないが、その清掃が日常の生活上の清掃の範囲に属するものであれば借主側の善管注意義務として借主が、一定の工事等が必要な場合には修繕に準じて貸主である区分所有者が、それぞれの対応するというのが1つの考え方ではないか。

耐震問題で借主に退去を求める場合

築50年以上の古い賃貸建物につき、建物の耐震性に重大な問題があることが判明した。そこで、貸主が借主に対し建物の明け渡しを求めたところ、借主が明渡しの拒否をした。今後、いかなる対応をとるべきか。
貸主から借主に対し、改めて、耐震診断をした専門家の報告書を添えて耐震診断の結果を通知して、建物の明け渡しを求める。それでも借主が建物の明け渡しを拒否した場合、貸主から借主に対して、①耐震診断の結果、建物の耐震性に重大な問題があることが判明した事実、②その事実を借主に対して通知したにもかかわらず、借主が建物の明け渡しを拒否した事実を確認する書面を内容証明郵便で郵送しておく。なお、借主が「建物を明渡す」との意向を示した場合、「建物の耐震性に重大な問題があることが判明した」とはいえ、そのことのみをもって正当事由が100%あるとはいえないことから、実際上は、一定の立ち退き料の支払いを要する。

火災報知機の設置は借主が対応する事としても問題ないか

消防法上火災警報器の設置義務者には占有者も含まれ、借主も設置義務を負う。ただし、賃貸の場合、貸主としての責任及び所有者としての責任に鑑みれば、原則として貸主が対応すると考えることが望ましい。借主側で対応する場合でも、貸主の確認などの事後的なチェックをしっかりと行う事が必要ではないか。
消防法上火災警報器の設置義務者には占有者も含まれ、借主も設置義務を負う。ただし、賃貸の場合、貸主としての責任及び所有者としての責任に鑑みれば、原則として貸主が対応すると考えることが望ましい。借主側で対応する場合でも、貸主の確認などの事後的なチェックをしっかりと行う事が必要ではないか。

建物の窓枠の修繕は小規模修繕と大規模修繕のどちらに該当するのか

窓枠の修繕の程度による。当該窓枠の修繕が、例えば、国土交通省作成の賃貸住宅標準契約書別表第4記載のものであれば小規模に該当するといえる。

賃貸住宅標準契約書別表第4
(第8条 修繕関係) 「畳表の取替え 裏返し」「ヒューズの取替え」「給水栓の取替え」「障子紙の取替え」「ふすま紙の張替え」「排水栓の取替え」「電球、蛍光灯の取替え」

居抜き物件における借主への修繕義務の負担は可能か

築20年以上の建物につき、今まで借主たる焼肉店が使用してきたが、今般、期間満了で退去した。次に当該建物を居抜きで借りる人は、当該建物において蕎麦屋を営むこととなった。当該建物はとても古く、また賃料も安いことから、貸主は当該建物の修繕義務を借主の負担とさせたいが、建物の修繕義務をすべて借主の負担とさせるような特約条項は有効か。
修繕義務についての民法の規定(606条)は任意規定であることから、「一定の範囲」で修繕を借主の義務とする特約も有効とされている。(最高裁判所昭和29年6月25日判例)ただし、建物の構造にかかわる修繕や、建物の構造ではなくても借主にとって過大な負担となるような修繕は、上記の一定範囲を超えると思われる。