FAQ 賃貸管理トラブル集

親が未成年契約であると主張で損害金の請求に応じない場合

貸主が未成年契約の借主と契約し、約1年経過後契約を終了したが、滞納賃料が3カ月あり、原状回復費用も多額に発生する。親に請求したところ、未成年契約は成立しないはずであるからそのような請求は、未成年にも親にも請求できないはずだと主張された。どうように考えるべきか。(親は契約時に連帯保証人になることを拒否したという事情もある)
未成年者を当事者とする契約も有効に成立する。(あとから取り消す事ができるだけである。)したがって、親権者の同意がない契約であっても、賃料ないし賃料相当損害金の支払い義務や、原状回復費用の支払い義務は未成年者本人に生じる。ただし、親は連帯保証人でない以上、法的義務を直接負うことはない。とはいえ、通常であれば、子供かけた迷惑行為につき親が道徳的に対応するのは常識の範疇に属するものであり、事実上の協力を求める事は十分可能と考える。

心神耗弱者との契約

借主は母親に障害を負わせてしまい、その後収容施設に入り、社会復帰をしたとのことである。心神耗弱者との賃貸借契約を締結した場合、契約取り消しの可能性はないのか。その可能性があるとしたら、どのようにすればよいか。
契約の取り消しの可能性はゼロではない。したがって万全を期すのであれば、当該借主の親族に家庭裁判所に成年後見、保佐等の審判を申し立ててもらい、家庭裁判所の審判を経るべきである。その結果、成年後見、保佐の必要はないと家庭裁判所に判断されたのであれば、当該借主と直接契約をすればよい。成年後見の開始の審判がなされた場合、後見人と契約することになる。保佐の場合は、基本的には3年以内の建物賃貸借契約はで被保佐人本人もできるが、家庭裁判所から当該契約についても同意を得るべきという旨の審判がなされた場合、保佐人の同意が必要である。

貸主が自分の名前を出したくない場合の代理人による記入のしかた

貸主○○代理人△△会社という表示が一般的である。代理人による契約が有効であるためには、授権行為の存在が必要であり、かつ、契約上の権利義務等の、代理行為による効果は貸主本人に帰属する事から、貸主名を記載しないというのは問題がある。貸主名を出さないというのであればサブリース契約をにすべきであると考える。

外国人が借主の場合、契約書を片仮名書きにして問題ないか

合意内容を双方が相違なく認識し理解できるのであれば片仮名書きでも問題ない。

利用目的と登記の記載が違う場合の契約は可能か

共同住宅として登記されている物件につき、事務所目的で契約をすることになった場合、登記を変更しなければ、契約はできないか。
登記は対抗要件であり、かつ、建物の利用目的は表示登記中にあることから、実際の利用と登記の記載とが異なることはよくあることであって、登記を変更しなければ契約できないということではない。ただし、物件を売却するときなどでは、借主の属性等が登記と実際とで異なる事態が生じることから、無用のトラブルが発生しかねない。したがって契約とは別に、機会をみて目的の変更手続きをしておくことが望ましい。

借主の現住所と住民票記載の住所が異なる場合の契約書の借主の記載は

契約書に借主の住所を記載するのは借主の特定のためである。したがって、契約書には、借主の現住所に併せて住民票記載の住所地を記載した方がよいと思われる。

契約書において代筆は可能か(夫借主で代筆を妻)

不可能ではないものの、後日紛争のもとになるので、契約書を預けて本人に自署してもらうのがよいのではないか。

10年以上前の床下浸水の事実の説明義務

その事実が賃貸借をするか否かの動機づけに影響を生じるものであれば説明すべきであるが、10年以上面の周囲の治水施設設置前に一度起こった床下浸水については環境が変化したことや通常生じ得ないことであるから、床下浸水によって構造上影響がない場合ではない限り、必ず説明しなければならない事実ではないと考える。

アパートで自殺者があった。この場合の対応全般について

物件の属性等によっては考慮すべき事情が異なってくるが、過去の判例には、街中の単身者用物件につき、自殺があった物件につき2~4年は賃料が半額になりうると判断したものがある。したがって2~4年間は当該物件については自殺があったことを説明すべきであるとともに、その場合の家賃下落分については借主の連帯保証人・相続人等に損害賠償して請求することも考えうる。