FAQ 賃貸管理トラブル集

賃貸条件として過去に滞納歴がないこととすることはできるか。虚偽の場合は解除可能か

人権問題に直接かかわったり、直ちに公序良俗に反するとまではいえないものと考える。ただし、いずれの条件も本人の申請により確認せざるを得ないところ、仮にそれが虚偽であった場合にそれだけで解除が認められるかどうかは、当該条件設定が、賃貸借関係の継続において重要かつ前提となりうるかという観点から評価されることになり、他に債務不履行の事実がないと難しいと考える。

建物賃貸借契約の借主が個人であったが、法人成りをした。契約書は作成しなおすべきか。

借主の法人成りの場合にも賃借権の無断譲渡・賃借物の無断転貸が問題となるところ、判例は法人成りの場合には、信頼関係破壊といえる特段の事情の存在を認めず、民法612条2項に基づく契約解除を認めない。しかし、当該賃貸借契約は借主と個人なのか(この場合は、個人と法人なりをした法人との間に転貸借契約があることとなる。)、それとも貸主と法人なりをした法人との間の契約なのか(この場合、個人は契約関係から離脱する。)、を明確にする観点からは、契約書を作成しなおすことが望ましいと考える。

貸主から、期間の定めがある建物賃貸借の解約申し入れをすることは可能か

法令上は、期間の定めがある建物賃貸借契約においても、貸主が、「解約権を留保」していれば可能である。(民法618条)しかし、実際上は、貸主の解約申し入れには「正当事由」が必要である事もあり、また、期間満了時の更新拒絶以外に貸主の解約申入れを認める必要性が乏しいことから、期間の定めがある建物賃貸借契約について、貸主から解約申入れをしても結論として認められない可能性が高い

定期借家契約で、期間が満了した場合はどうしたらよいか。

契約終了として明渡しを求めてよいし、また再契約をしてもよい。なおいずれにしても契約が終了した旨の通知はしておくべきである。

定期借家契約での更新料の設定

期間6年の定期借家契約を締結する事を検討している。しかし、定期借家契約について期間6年としてしまうと、普通賃貸借契約のような2年ごとの更新料を受領する事ができなくなる。そこで、賃料に関する合意として「借主は貸主に2年毎に賃料の2ヶ月分を支払う」との特約を締結することを検討しているがこの特約に問題あるか
賃料の支払い方法についての合意として、一応有効と考えられる。ただし、借主側がその内容を十分に認識したうえで契約がなされたかが争いになる可能性がある。

事業用定期借家契約では、存続期に制約があるか、公正証書でなければならないか

短期、長期共に制約はない。契約で自由に定めればよい。方式も、書面であれば、必ずしも公正証書による必要はない。

事業用定期借地契約において留意することは何か

30年以上50年未満の事業用定期借地契約をする場合には、更新がない事、建物買取請求権がないことなどを特約しておく必要がある。

定期借家契約の再契約につき、貸主が権利金を受領することは問題あるか。

権利金の趣旨が明確であり、金額が暴利行為というような金額ではなく、借主も十分に認識の上合意していれば、特に法律上の問題はないと考える。

定期建物賃貸借契約を普通建物賃貸借契約に切り替えることは可能か

普通建物賃貸借契約のほうが、定期建物賃貸借契約よりも借主に有利であることから、問題ない。