FAQ 賃貸管理トラブル集

滞納家賃の回収方法 法的措置の前に請求債権として給与の差押えをしたい場合

建物賃貸借契約借主が多額の賃料を滞納している。しかし、借主に対し建物明渡しを求める法的措置をとるには多額の費用がかかる場合があるので、まずは、滞納賃料を請求債権として借主の給与を差し押さえたい。(借主の勤務先は知っている。)いかなる方法ととったらよいか。
借主の給与を差し押さえる前提として、支払督促命令の申し立て、もしくは、訴訟の提起をして債務名義を得る必要がある。その上で、裁判所に給与債権差押えの申し立てをする。

家賃の遅延損害金条項がない場合は損害金はとれないのか。

取れます。
遅延損害金の約定がある場合はその約定による遅延利息を請求できます。
(公序良俗に反する高額な約定は無効となります。)
この場合、賃貸を事業として行う場合には、消費者契約法により、未払い家賃についての
遅延損害利息は年利14.6%(1日あたり0.04%)までと制限され、これを超える部分は無効です。

もし約定がなくても、年5%~6%の割合による遅延利息を請求できます。
業としての経営でなければ5%、業としての経営ならば6%です。

築年数が古い物件の更新

きわめて古い建物につき、更新拒否をすることは可能か。

正当事由としての考え

建物の現況が賃貸継続の前提を欠くということであれば更新拒否の正当事由はあると考えられる。

賃料増額の交渉中の状態での契約更新は

事業用契約でまもなく更新時期を迎える。賃料増額の交渉中であるが、契約更新の時期までにまとまりそうにない。どのように対応すべきか。
借地借家法上の賃料増減請求権を行使した形にしつつ、賃料については交渉中であるとし、それ以外は従前と同様の契約条件として合意更新をしておくことが考えられる。

法定更新がなされた賃貸借契約につき、オーナーからの解約は可能か。

法定更新の場合、期間の定めのない契約となることから、オーナーからの解約は可能。ただし6ヶ月の予告期間と正当事由が必要とされる。

建物賃貸借契約が法定更新となった場合の契約期間は

借地借家法26条1項

期間の定めのないものとなります。

更新時に借主が法人成りになった場合

店舗物件につき、更新にあたって、ちょうど更新時期に借主が、個人事業者から法人になった(法人成りで実際の使用態様は変更無し)この場合の契約関係はどうなるのか。

更新合意書で明確にすることが大事

個人事業者の法人成りは、借主の人格が変わるため、形式的な賃借権譲渡となるが、実際上使用態様が異ならない以上、貸主が承諾を拒否する正当な理由がないとして、契約継続が認められるのが一般的である。これに更新の問題が加味されて基本的には同じであって、「旧借主の地位をそのまま引き継いだ法人を借主として更新する。」という関係で考えればよい。ただし、借主が個人から法人成りによって法人に変更すること、実質上当事者の性格や使用態様に変更がないことから旧契約を更新することなどを、更新合意書などで明確にしておおくことが望ましい。(仮に使用態様が変更となった場合には、解除、解約等の材料にするため)

更新拒絶の文言の強制力は

アパートを借りている老齢の女性から、前回更新時に「次回は更新しない」旨の文言が契約書に付け加えられたと相談がありました。
翌年の契約満了時に強制的に契約終了となるのか。穏便な解決方法はあるのか。
そのような更新拒絶文言は借地借家法上効力がない。貸主側で転居費用をもち、高齢者住宅等のしかるべき転居先を探しあげて、穏便に退去してもらうしか方法はないだろう。

借主が契約更新手続きに応じないが、強制的に応じさせる方法は

そのような方法はない。法律上は法定更新という扱いになる。